遺伝子やたんぱく質がどんなものだかはわかってきました。ほうれん草を食べてもほうれん草の遺伝子、DNAが体の中のどこかにたまって、体が緑色になったりしないのと同じで、遺伝子組み換えで入った遺伝子やたんぱく質が体のどこかにたまったりしないのですね。でも、遺伝子組み換えるって、どういうことなんですか?
それでは、ここで遺伝子を組み換えるとはどういうことかをみてみましょうね。私たち人間は、何万年もの間、植物を育種して現在の農作物を作り出してきました。育種とは、基本的に遺伝子を組み換えたり、変化させたりして好ましい性質の植物を選抜することです。これまでに行われてきた育種のうち、遺伝子を組み換える方法には、大きく二つがあります。ひとつは、種の壁、あるいは、分類学的に種の上のランクである属の壁を越えた育種があります。最近では、まだ日本にはありませんが、ブロッコリーと青汁のもとであるケールを掛け合わせて、アスパラガスの頭にブロッコリーのようなもののついた、ブロッコリーニという野菜がアメリカでは出ています。また、ギフグリーンは、はくらんという、白菜とキャベツを掛け合わせたものです。

(農林水産省パンフレットより)
さらに、トマトでは、耐病性の野生種と食用種との掛けあわせが常に行われています。
へーえ、いろいろな組み換えがされているのですね。
もうひとつは、倍数体の利用です。普通の生物は、私たち人間を含め、親から一組ずつ、合計、二組の遺伝子を持っています。そして、それは二倍体と呼ばれます。しかし、種無しスイカでは、遺伝子を化学物質で処理して、三組の遺伝子を持つようにした三倍体となっています。また、バナナは天然の三倍体です。これらの掛けあわせや倍数体も、成分にはまったく変わりがありませんので、私たちが食べても悪影響はなく、栄養価も同じなわけです。
人間は、ずっと前から、そして今も植物の遺伝子組み換えを利用してきたんですね。そのような技術と遺伝子組み換え技術とではどういう点が違うのですか?
それでは、ここで遺伝子組み換え技術が従来の組み換え育種技術と何が違うのかをまとめてみます。まず、遺伝子組み換え技術では、望ましい性質を担っている遺伝子だけを組み換えることができるということです。従来の組み換え育種技術では、寒さに強くなったとか、実が大きくなったとか、現象として現れる性質がわかるだけで、実際に遺伝子にどのような変化が起こったかはわからなかったのです。新しい遺伝子組み換え技術では、遺伝子の機能がわかっているので、より正確に、幅広く育種や品種改良を行うことができます。
なるほど、そのようなメリットがあったのですね。少し話が違うのですけれど、まったく違う類の生物から遺伝子を取り出して組み換えても大丈夫なのですか?よく、「種の壁」を越えて遺伝子を取り込んだりするのは危ないとか言う人がいますけれども。
それでは、その点について、次に簡単に説明しましょう。