遺伝子組換えってどんな技術なのですか?

まず、遺伝子について確認しておきましょう。遺伝子とは、みなさんよく知っているように、人間をはじめとするすべての生物が生きていくために必要な情報をしまっておく物質です。通常は、DNAと呼ばれるごく細いひものような物質の中にこの情報は書き込まれています。ちょうどカセットテープに音楽を録音しておくように、一曲一曲の遺伝子がDNAの上に記録されています。生物がある遺伝子の働きを必要とするときに、その生物は必要な遺伝子をDNAの上から頭出しして、再生ボタンを押して曲を演奏(遺伝子上の情報を機能させる)するのです。

さて、細菌などの微生物から植物、動物に至るまで、すべての生物は細胞と呼ばれる小さな構造からできています。細胞は生物の体を構成している単位です。細胞の中には、細菌を除いてふつうは一個の「核」という袋があって、その中にDNAはしまわれています。ある生物のこのDNAの中にある遺伝子を違う生物のDNAの中に組み込んで、その生物に優れた機能を付ける技術です。たとえば「ひまわり」の細胞の中にある、人間の体に良い影響をおよぼす油を作る遺伝子を取り出して、それを違う生物の、たとえば「トウモロコシ」の細胞の中に入れ、健康に良い影響をおよぼすコーン油を作るトウモロコシを作ったりします。また、砂漠に生える植物のDNAの中にある、乾燥に耐える働きをする遺伝子をイネや麦の中に入れることによって、砂漠でもイネや麦を作ることができるかも知れません。

違った見方をしてみましょう。農作物に限って話せば、遺伝子組換え技術は人類が長い間、ずっと行ってきた「選択的育種法」の一つなのです。ガーデニングで庭やプランターに植える可愛い花、私たちが毎日口にする穀物、牧場で飼っている家畜や私たちの予期ともであるペットたちの多くは、この「選択的育種法」によって選ばれてきた者たちなのです。そして、私たちはこのことを今まで気にしてきたことすらなかったのです。

たとえば、ペットについて考えてみましょう。コリーやチャウチャウのような血統書付きの犬は、まさに遺伝子組換え技術の一種を使って「育種」されて作られていました。イヌという動物自体が、昔の人が欲しい性質を持っていたオスとメスのオオカミから子供を産ませ、人間にとって魅力的な動物を作ってできたものです。その後、長い時間をかけて同じような方法で、好ましい性質やルックスを持つイヌの品種を作ってきたのです。同じことはバラにも言えます。よりかぐわしい香りをただよわせ、繊細な色を持ったバラがこのようにしてうまれてきました。また、偶然にこのような育種が行われ、人間がそれを利用した場合もあったと思われています。たとえば私たちがゆでて食べるスイートコーンは、偶然に起こったトウモロコシどうしの交配(オシベの花粉がメシベに付いて両方の親の性質をもった種ができる)を、人間が利用したものだと思われています。

しかし、この昔から行われてきた方法は、時間はかかるし、労力もかかるし、うまくいく確率もあまり高くありません。また、好ましくない性質が入ってしまったりすることもあったでしょう。

そこで、どのようにしてこのような性質が子孫に伝えられていくのかを明らかにして、その方法を利用して、効率良く「育種」をしようとするのが「遺伝子組換え」と呼ばれる技術なのです。

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