遺伝子組換え食品に毒性があったって本当ですか?

これは1989年にアメリカなどで発生したいわゆる(トリプトファン事件」のことを指しているのだと思います。このトリプトファンは栄養素のアミノ酸の一つで、栄養補助剤としてのトリプトファンを作ったある日本の会社の製品を食べた人の内、約40人が亡くなったという事件です。

ここで大きな誤解があります。たまたま、このトリプトファンは、このアミノ酸をたくさん作るように遺伝子組換えをした細菌の一種を使って製造されていました。しかし、この場合に事件の原因となったのは、遺伝子組換えをしたことではなく、この細菌が生産した毒性を持つ不純物を十分に取り除けなかったためではないかと疑われているのです。この不純物をトリプトファンと一緒に食べたために、その毒で死んでしまったというのです。

毒性のある不純物のせいなのですから、これは明らかに、遺伝子組換えの問題ではありません。遺伝子組換え食品に毒性があったわけではなく、その食品が適切な精製加工過程を経ていないのが問題だったのです。この事情をよく知っている人たちの間では、遺伝子組換えのリスクの話をしているときにトリプトファン事件が引き合いに出されるたびに、その辺の誤解を解こうと努力をしています。また、事実を正確に把握しいていながらも、この事件を遺伝子組換えと関連付けて議論する人には、もっと科学的にきちんとした議論をしてほしいと願っています。

これと似たような誤解に、BSE(いわゆる狂牛病)の事件があります。BSEは遺伝子組換えの結果、発生した病気だと言うのです。こちらは、 BSEは遺伝子組換えと関係あるのですか? をご覧ください。

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