遺伝子組換えは夢のような技術だということは分かりましたが、それにしては、社会に受け入れられていないのではありませんか?

遺伝子組換え技術を用いた作物が実際に出回るようになってきました。これからが、いろいろな夢を実現していく大切な時期だと思います。しかし、必ずしも遺伝子組換え技術が広く一般の人たちに受け入れられているとは見受けられません。この原因は、確かに開発をしている企業の側にも少し責任があると思います。

反対する人に対して「この技術のすばらしさが分からないのは、正しい科学的理解ができていないからだ」と、ただ単に言いっ放しにして、科学に基づかない感情的な議論の相手にならなかったり、環境や、食糧問題への遺伝子組換え技術のメリットをただ単にくり返すだけだったりという傾向がなかったとは言い切れません。

これからは、消費者を含めて遺伝子組換え作物を食べたり、植えたり、使ったりする人たちと、同じレベルに立って、きれいごとだけではない率直な対話をする機会を増やしていくことが大切でしょう。すべての人たちに素直に飾らずに話をして欲しいと思います。たとえば、当然、これまでの開発にかかった費用を取り返さなくては困るのだということ、商品として売りさばくための市場が必要なことなど、商売上のことも正直に話をするべきでしょう。

遺伝子組換え技術で作った作物の種から芽が出ないようにする「ターミネーター」技術というものがあります。このような技術は慎重に使われるべきでしょう。この技術の本来の意味は別の場所でお話ししますが、農家の人が次の年に蒔く種を、毎年、開発した企業から種を買わせるための手段にすることは避ける必要があるでしょう。

逆に、発展途上国への援助の一環として、飢餓に苦しむ国々へ無償援助するのも、遺伝子組換え技術に対する社会の理解を得るための、ひとつの方法ではないでしょうか。土地がやせていたりして、農作物を育てるのに適していないことが、そのような地域で飢餓が起こる原因にもなっています。そのような地域の人々こそ、遺伝子組換え技術で栄養を強化したり、やせた土地でも収穫できるようにした農作物を必要としているのです。

一方、たとえば抗生物質の使い過ぎで耐性菌が出てくるように、害虫抵抗性の農作物をたくさん植えると害虫が抵抗性になってしまいませんか?のところで説明した害虫の抵抗性になってしまう危険性など、まだ完全に分からないこは、はっきりと分からないと認め、伝えていくことが必要だと思います。また、これからもわかったことはすぐに人々に知らせるつもりだということをあらかじめ伝えておくことが大切だと思います。

この大きな可能性を持っている遺伝子組換え技術の発展が妨げられるようなことがあってはなりません。しかし、少し開発のペースが速すぎて、社会の理解を得て、受け入れられる前に商品が出回ってしまったのかもしれません。これからは、じっくりと腰をすえて社会の理解を得る努力をしていく必要があると思います。

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