遺伝子組換え技術で作った作物の種から芽が出ないようにする「ターミネーター」技術とはどういう技術ですか?
まず、この「ターミネーター」は、本来の技術の名前ではなく、マスコミや一部の団体が勝手に付けたセンセーショナルな名前です。この技術は、遺伝子組換えによって種の発芽を止める働きを入れるものです。なぜ、この技術が開発されたのでしょうか。また、どうして必要なのでしょうか。
この技術を応用した種子から芽生えた植物がつける種は、発芽する能力を失ってしまいます。すなわち、この技術を応用した遺伝子組換え農作物から、農家の人が種を採取して次の年に植えても、芽が出てこないのです。
この点から、種子の種子会社による独占を助長するという懸念が指摘されています。現実には、このほかにも、農家の人が採種した(自家採種)種から芽生えた植物が、親と同じ性質を持たないように作られた種は、たくさん売られています。
たとえば、一代限りだけれど、望ましいが不安定な性質を持つように作るF1技術を用いて作られた種子は、農家の人が来年用にと、とって置いた種をまいても、前年のようなすばらしい性質を次の年も発揮することはできません。
さて、いずれにしても、この技術は確かに種子会社が商売上の利益のために用いることのできるものです。しかし、この技術にはそれだけではない重要な意味があるのです。
将来、遺伝子組換え植物に、いろいろな付加価値をつけることができるようになったときに必要になります。たとえばインフルエンザワクチンを作るようにしたオレンジが開発されたとしましょう。今までのように、薬としてワクチンを投与する場合には、へき地に住む人たちには、医者がわざわざ奥地にまで足を運んで投与しなければなりません。しかし、ワクチン入りのオレンジがあれば、このオレンジを1個食べればワクチンを自動的にとることができます。
また、遺伝子を組換えた植物を利用して、将来、薬を生産することができるようになるかも知れません。植物の中にはいろいろな生理作用を持つ物質を生産するものがあって、その一部は漢方薬としても使われていますが、その中で、たとえばガンに良く効く物質を生産する植物のその成分の生産能力を上げて、ガンの特効薬を作ることもできるようになるかも知れません。
上に書いた二つの例は、人間のために役に立つ植物を作る技術ですが、どちらも、間違って必要でない人たちが食べてしまわないように、きちんとコントロールされることが大事です。このようなときに、こぼれた種から不必要に芽が出ないようにするために、この技術が必要であるともいえます。この技術は遺伝子組換え植物のコントロールにも重要な意味を持ちますが、悪用されないようにすることが大切です。