遺伝子組み換えをした生物では、その組み換えた性質が次の世代以降にも伝わっていくのですか?
遺伝子組換えをした生物の中の組み換えた性質は、次の世代以降にも伝わります。これは、逆に考えることもできます。つまり、伝わっていかなかったものはその時点で失敗なのです。遺伝子組換えを行っても、組み換えに使った遺伝子と、組み換えられる方の生物との「相性が悪い」ときには、たとえ組み換えのための遺伝子の導入をしても、その遺伝子が壊れてしまったり、細胞分裂の時にうまく複製できなかったりしてしまうことがあります。このような場合には、その性質は(たとえ導入されても)一代限りで、当然子孫には伝わりません。このような「不安定な」性質はそれ以上の開発ができないので、そこで終わりになります。
ですので、正確に言えば、遺伝子組換えをした生物では、その組み換えた性質が次の世代以降にも伝わっていく場合に、人間が利用できるということです。遺伝子組換えの安全性審査では、導入した性質が子孫の代でも変化しないか、安定して受け継がれているのかも調べられます。このようにして、アレルギー源性や急性毒性などに関して行われた安全性審査の結果が将来にわたって有効であることが確かめられます。
もしかすると、この質問の奥には、一度導入された遺伝子がいつまでも残って、取り除くことができないのではないか、という不安があるのかもしれないので、ここでもう一つだけお話しておきましょう。確かに、一度導入した遺伝子を再び取り出して導入された植物の染色体(DNA)を完璧に元の形に戻すことは将来的にはわかりませんが、現実的にはほとんど不可能です。
もし、間違って危険なものができてしまったら、あるいは、おかしなことをする人がいて、どんな植物も駆逐してしまうような植物や、強力な毒やアレルギー源物質を作り出したりしたら、それは大変なことになる危険性があります。したがって、そのようなことが起こらないように注意を払うことが、監督する人たち(政府の規制担当者)やいわゆる消費者団体やNGOにとって大事な仕事です。消費者団体にとっても、不安をあおって印税を稼いだり、自分のグループの存在意義のための反対運動をするのではなく、大局感を持った運動で、人類の発展のために活動できる大きなチャンスといえます。