どのような生物の遺伝子も解読できるのですか?もしそうならば、とても危険ではないですか?
どのような生物の遺伝子も、理論上は解読できます。なぜなら、すべての生物の遺伝子はみな、同じDNAでできているからです。いろいろな飾りがDNAの成分であるヌクレオチドに付いていたりして、解読がしにくい場合もありますが、基本的には、すべての生物について同じ方法で解読することができます。
生物の遺伝子を解析すること自体は、危険なことではありません。たとえば、遺伝子を解読したからといって、その遺伝子の中に隠されていた呪いが現れてリベンジしてきたりするようなことは、SFホラー映画の世界でしか考えられないことです。ただし、違った意味での危険性はあります。たとえば人間にはいろいろな遺伝病があります。遺伝病とは、遺伝子に間違いがあって、それによって病気になるものです。遺伝病は、その遺伝子を解析すれば、そうであるかないかがわかる訳ですが、中には必ずしも遺伝子の間違いがあっても発病しない場合があります。そのようなときに、ある人が自分が遺伝病の素質(遺伝子の間違い)を持っているかどうかはプライバシーの問題です。それは、その人自身がきめる問題で、必ずしも周囲の圧力で調べる問題ではありません。また、赤ちゃんに遺伝子異常があるかどうかを調べることも可能になっています。赤ちゃんに異常があるかどうかを調べるかはお父さんとお母さんの判断ですし、もり万が一、異常があっても生まれてくる赤ちゃんの命を、勝手に奪っていいのでしょうか。そういう問題もあります。
人間の全染色体(全部の遺伝子)が解読されたときのことを考えてみましょう。人間はひとりひとり個性があって、性質や能力が異なっていますが、これらのうちには遺伝子に支配されているものがあります。だから、人間としての基本の遺伝子の構造は違わなくても、ひとりひとりが細かい点では少しずつ違っています。AさんのDNAとBさんのDNAは少しずつ違うわけですが、AさんのDNAはAさんの財産でしょうか、それとも、一人の人間としての知見のひとつに過ぎないのでしょうか?現在では夢のような非現実的なことですが、もしひとりひとりのDNAの解読ができるようになったら、それをある特定の人がコントロールすることは倫理的には大きな危険を伴うでしょう。こういうことも、これから充分に考えていく必要があると思います。