遺伝子組換えは安全な技術なのでしょうか?その2
まず、この下の文章を読んでみて下さい。これは、1990年代の後半にあるお豆腐屋さんが遺伝子組換えをしていない大豆で作った自社の豆腐の宣伝文句です。
「みなさん、はじめまして。私は○○食品の××と申します。私は子供の頃から父の作った『○○の豆腐』を食べて育ちました。そして現在、豆腐作りに携わって2年半になります。○○食品では、より安全性を追求するため、今年6月から全面的に揚げ油を、遺伝子組換えの不安のないなたね油に切り換えました。もちろん、豆腐の原料である大豆も、私が生まれる前から父が頑に作り続けた本物の味(国産大豆100%、天然にがり100%)を守り続けていますので、遺伝子組換えの心配はありません。豆腐作りは毎日が真剣勝負。みなさんの笑顔を思い描きながら今日も豆腐を作り続けます。みなさん、これからも私共々、○○の豆腐を末永くご愛顧よろしくお願いします。」
どんな商売でも、売り上げを伸ばしたいと思っていると思います。そのために、どのような手段を用いるかは、それぞれの人の良心と知識によって異なると思います。この宣伝文句には赤く示した部分に、明らかに証拠不足による論理の飛躍があります。恐らく知識不足からきたものだと思いますが、これは販売促進のために意図的に言っているのでしょうが、少し残念な気がします。
それでは、何が問題なのか、見てみましょう。
『より安全性を追求するため』ですが、「より」と言うからには何かより、何かほかのものがより安全だと言っているのでしょう。多分、遺伝子組換えしていない大豆となたね油が、しているものより『安全』だと言っているのでしょう。それには根拠が必要です。世界中のバイオ研究者や、各国政府の規制担当者が知恵を尽くして追求している安全性(遺伝子組換えは安全な技術なのでしょうか?その1を見て下さい)を、このお豆腐屋さんは説明なしにバサッと否定してしまいました。
『遺伝子組換えの不安のない』、『遺伝子組換えの心配はありません』ですが、「不安」、「心配」と言うからには何が心配なのかをはっきりさせる必要があります。遺伝子組換えが不安で心配だと言っているのでしょうが、それなら、遺伝子組換えのどの点が不安で心配なのかを述べてほしかったと思います。
試しに、『不安のない』を『高品質の』に、『心配はありません』を『恩恵を100%引き出しています』に変えてみましょう。
「みなさん、はじめまして。私は○○食品の××と申します。私は子供の頃から父の作った『○○の豆腐』を食べて育ちました。そして現在、豆腐作りに携わって2年半になります。○○食品では、より安全性を追求するため、今年6月から全面的に揚げ油を、遺伝子組換えの高品質のなたね油に切り換えました。もちろん、豆腐の原料である大豆も、私が生まれる前から父が頑に作り続けた本物の味(国産大豆100%、天然にがり100%)を守り続けていますので、遺伝子組換えの恩恵を100%引き出しています。豆腐作りは毎日が真剣勝負。みなさんの笑顔を思い描きながら今日も豆腐を作り続けます。みなさん、これからも私共々、○○の豆腐を末永くご愛顧よろしくお願いします。」
何の矛盾もないまま、正反対の論理が成り立ってしまいました。これは、この文章に「科学的な論理」がないからです。この件に限らず、一見もっともらしいこのような文章に接したときには、私たちは注意しなければなりませんね。
これに似た宣伝文句はまだまだあります。食品製造の大企業も、何を言っているのかわかっているのかいないのか、それこそわかりませんが、使っています。一例を、大手惣菜やさんの宣伝文句でご覧下さい。
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