抗生物質の使い過ぎで耐性菌が出てくるように、害虫抵抗性の農作物をたくさん植えると害虫が抵抗性になってしまいませんか?

確かに害虫が耐性になってしまう危険性がないとは言えません。この組換え農作物に利用されている害虫抵抗性は、バチルス・チューリンゲンシスと呼ばれる細菌が作る昆虫に対する毒素たんぱく質のものです。この毒素はこの細菌の英語名の頭文字をとってBt毒素と呼ばれています。この細菌が自然界で生産するこの毒素たんぱく質は、昆虫のお腹の中で吸収されて殺虫性を示しますが、人間などの動物では吸収されないので作用しませんし、人間にとって毒性もありません。また、Btは化学農薬のかわりに、環境にやさしい生物農薬として環境問題に厳しい人たちからも大きな支持を得ている技術でもあります。

害虫抵抗性Bt農作物は、1997年には全米でワタが240万エーカー、トウモロコシが400万エーカー、ジャガイモで2万4千エーカーが植えられたとも言われています。今後、もっとその作付け面積は増えていくことは確かです。そこで昨年(1998年)、アメリカの環境保護庁が組織した専門家たちが2日間にわたって、害虫抵抗性の組換えBt農作物を大量に作付けることによって、昆虫が抵抗性になってしまわないかを熱心に議論しました。そして報告書の中で、Bt毒素の耐性昆虫が現れる危険性は現実のものである、という報告を環境保護庁にしました。また専門家たちは、このとても環境にやさしい技術を末永く有効に利用していくためには「避難所」を作る必要があると提言しています。そうすれば、仮にBt抵抗性の昆虫が現れてもこの避難所の中で繁殖した正常の昆虫によって自然界で抵抗性昆虫が薄められて、広がるのが防げると言うのです。この避難所の中では、Bt組み換えをしていない同じ種類の農作物を植えることになります。

このような避難所を作ることによって、抵抗性害虫がうまれるのを防ぎ、抵抗性昆虫の問題を解決しようとしています。さて、どれだけの農地面積を避難所に割り当てる必要があるかですが、これについては今後さらに議論をするとしています。ひとつの目安として、たとえばワタの場合には20%の面積を避難所に割り当てれば十分ではないであろうかと考えられています。

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