温泉をすみかにしている微生物について教えてください。

高度好熱性菌については、前の項目で説明しました。ここでは、それほど極端ではないにしても、熱い温泉が好きな微生物にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。

私たちの周囲にいる細菌は、当然のことですが、私たちが住んでいる環境の条件を好む細菌です。しかし、地球上には私たちが住めない環境条件の場所はたくさんあります。深海の海底や、高山の頂上、そして、温泉が吹き出している場所などです。そのような所は、人間が住めないだけで、ほかの生物は微生物に限らずたくさん住んでいます。たとえば、深海には、あんこうのような深海魚やたらばがにのような蟹、高山には雷鳥のような鳥や美しい高山植物などです。温泉にも、当然、いろいろな生物が生きています。

温泉が地中から吹き出るときには、蒸気として摂氏100度で吹き出ることもありますが、岩盤を通ってしみ出るまでに冷やされて40度ほどになっている場合もあります。摂氏100度で吹き出たものも、地上で空気や地面に触れて次第に冷やされていきます。そして、私たちがつかる温泉風呂では、40度前後になっています。このように、吹き出たばかりの100度から私たちにとって心地よい40度まで冷やされていく過程を温度勾配と呼んでいます。この温度勾配上を、いろいろな微生物がそれぞれの最適な温度条件を選んですみかにしています。

まず、温度の高いところですが、80度付近まで生育できる高度好熱性細菌です。これらの細菌の代表には、アメリカのイエローストーン国立公園の温泉から発見されたサーマス属の細菌があります。「水の中にいる好熱菌」という意味のサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)という名前を持っています。

それよりもう少し低くなって、50度から45度付近になると、中度好熱性細菌と呼ばれる細菌が生えてきます。この中にはたとえば、納豆菌の仲間のバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)という細菌がいます。この名前は「少し高い温度が好きな桿菌(細長い細菌)」という意味です。

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