有機栽培の野菜は体にいいのに、なぜ有機水銀は体に悪いのですか?

どちらも、英語のorganicを日本語にあてはめた「有機」を使っています。この英語のorganic(オーガニック)という言葉は、本来の意味は「生物を作っている、生物的な」という意味です。

それから派生して、「組織的な、機能する、連携を取り合う」といった意味でも使われます。「有機」という日本語の訳語は、この「能がる」から作られたのだと思われます。有機栽培(organic farming)という言葉は、アメリカの農家の人たちが、人工的な物質や機械的な方法に頼らず、自然(生物)の力を用いて、環境にやさしい農業をしようと始めた栽培方法です。この場合のオーガニックとは、ここでいう「生物的で、組織的な、そして自然環境との連携を取り合って行う」という意味合いで使われています。

日本では有機栽培とは、有機肥料(生物体由来の堆肥などの肥料)を用いて、化学農薬を使わないで栽培する農作物のことを指しています。だから、体にいいし、おいしいと一般的に思われています。また、何が有機栽培なのかをはっきりさせるために、農林水産省が守るべき基準を設けています。

欧米では、日本よりももっと細かくいろいろな基準を厳しく決めています。そして、国や有機農業を取りまとめているグループが正しく栽培が行われているかを監視しています。日本でも、これから同じような基準を決めていきます。余談ですが、日本に比べて欧米では、有機栽培は「体にいい、おいしい」作物を作るというよりはむしろ「生物環境にやさしい」農業であるという認識が強くあります。ともかく、これが有機野菜がそう呼ばれる理由です。

さて一方、生物体を作っている物質はorganic compounds(生物を作っている物質)ですが、日本語では「有機物質」と訳されます。そして、このような有機物質は化学的にみれば「炭素」を必ず含んでいるので、炭素を含んでいる物質を(実際には生物に含まれている物質であろうとなかろうと)一部の例外を除いて有機物質と呼んでいます。

水銀やカドミウムなどは、人間に対して有害な作用をおよぼす金属です。特に、炭素と結合して有機化合物にした水銀(有機水銀)は以前は農薬として用いられていました。現在は使われていませんが、土の中などに壊れずに残っているものもあります。そのような有機水銀が徐々に農作物の中にたまっていって、人体に害をおよぼすことがあるので、たびたび私たちは有機水銀という言葉を目にすることがあるのです。

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