微生物は何歳まで生きるのですか?

この質問に答えるためには、生物が生きるやり方に2種類あることを、まず理解しておかなくてはいけません。

ひとつ目は、オスとメスがあり、それぞれから半分ずつ性質を受け継いだ、両親とは異なる子供ができる「有性生殖」です。この場合は、できた子供と親の区別は明らかです。自分とは全く別の個体(子供)を作った親は、やがて古くなって寿命を迎えます。

これに対して、親がただ単に体の一部を分けたり、二等分したりして子孫を増やしていく「無性生殖」です。無性生殖の場合も、体の一部を分けて新しい個体(子供)を作る場合は分けた後に残った元の個体(親)は、やがて古くなって寿命を迎えます。これは、たとえば、地下茎を延ばして増える竹が、新しくタケノコを出して子孫を増やし、古くなった竹が枯れる場合にあたります。

問題は、ただ体を二等分して子孫を増やしていく場合です。これは原始的な生物にみられる最も簡単な増殖方法です。この場合、2つに別れた新しい個体は、どちらが親でどちらが子供なのか見分けがつかない場合があります。よくその名前を耳にする大腸菌などの細菌は、この方法で子孫を増やします。

まず、一匹の大腸菌は、自分の細胞を大きく成長させながら、その中にある、自分の性質を決めている情報の入ったDNAを複製します。そして、体の大きさが二匹に分かれてもいいくらい大きくなり、DNAの複製もその完了が近付くと、ソーセージ型をした自分の細胞の真ん中へんの細胞壁(細胞を包む皮)を厚くして、そこから二つに分かれる準備を始めます。そして、その真ん中の細胞壁がどんどんとソーセージの中央部に向かって入り込んでいき、やがて、ソーセージを二つに分けてしまいます。複製したDNAは、その二つの細胞に一つずつ入れられます。このような「分裂」という方法で増えた大腸菌の細胞には、親も子供もありません。

この増殖の過程では、いつでも細胞の成分を新しいものに取り替えています。だから、それぞれの成分には寿命がありますが、細胞としての寿命はないと言えるのです。これは、大腸菌のような単細胞の単純な微生物だけに起こることです。

一匹の大腸菌としての寿命はありません。しかし、この大腸菌もたくさん集まって集団になると、その集団に寿命ができる場合があります。大腸菌が自分の体を作り、生きていくエネルギーを得るための栄養成分を見つけると、それらを利用して分裂増殖を始めます。この栄養成分は、人間の大腸の中では絶えず私たちが食事をしてお腹に入れた栄養成分のおこぼれがやってくるので、不足することはないのですが、他の場所では、限られた量の栄養成分しか存在しないところもあります。このような場所では、そこに存在する栄養を利用し尽くすとそれで、増殖がストップして、集団としての寿命を迎えます。

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