風邪にかかったときに病院でもらう薬は、風邪のウィルスや細菌を殺すための薬なのですか?
病気になって病院にかかったときに処方される薬の種類は(それぞれの症状によって医師の診断と判断によって違ってきますが)、一般的に「風邪」と呼ばれる症状では、現れている症状に対する「対症療法」的な薬(鼻水を止める、咳を鎮める、など)と、体に抵抗力を付ける薬(ビタミン剤など)、そして免疫抵抗力の弱った体が細菌などの万が一ほかの病原菌に侵されないように防御する抗菌剤(抗生物質など)などがあると思います。「風邪」は様々なことが原因となって起こりますが、インフルエンザと似たように、ウィルスが関わっている場合が多いと思われます。ですから、病院でもらう薬は、多くの場合にはこのうちの抗菌剤だけが、病原体を殺す作用があることになります。しかし、一般には抗菌剤は、対象となる病原体(たとえば病原菌)が生活するために必要な活動のうち、宿主(人間に感染する場合には人間)が持っていない機構を攻撃して効き目を現します。細菌の生活は人間とは異なる機構を利用している部分もありますので、それらの機構を攻撃して、抗生物質などの抗菌剤は効き目を現します。一方、基本的に宿主(人間に感染する場合には人間の)生物機能をちゃっかり利用して生活するウィルスに直接、有効に作用する抗ウィルス剤と呼ばれるものはほとんどありません。
ウィルスの表層には自分をほかの生物などから区別するための抗原たんぱく質や殻をつくっているコートたんぱく質があることはウイルスと細菌の違いを具体的に教えて下さいとウィルスはどんな生物ですか?で説明しました。ウィルスの中でも、インフルエンザウィルスの中には、すでにこれらのたんぱく質の構造が知られていて、そのたんぱく質を見つけると攻撃する抗体が人間によって作られている場合があります。このような抗体は「ワクチン」としてインフルエンザの予防に利用されています。良く耳にする、香港A型とか、ロシア型とかというインフルエンザウィルスの種類は、抗原たんぱく質の構造の違いによって決めた型で、香港A型に対抗するワクチンの中の抗体は、ほかの型のインフルエンザウィルスのたんぱく質を攻撃しないので、効果がありません。抗体については免疫について本当に簡単に教えて下さい。を見て下さい。いずれにしても、いわゆる風邪にかかったときに医師からもらう薬は、その風邪の病原体を殺すものではなく、私たちの体が一生懸命戦っているときに、その戦いをサポートするものであると考えた方が良いようです。風邪にかかったら、「あったかくして、良く眠る」のが一番ですね。