水道水中にはどんな微生物がいるのかまた、それらの微生物の数が増加していく際に微生物が生成する物質などを教えてください。
水道水には塩素が入っていて、微生物が生育して水道水を腐らせたりしないようにしてあります。だから、基本的には水道水中には生きている微生物はあまりいないと言えます。しかし、塩素を加えない井戸水では、水質検査が行われています。これは、時々、井戸水の中から微生物が見つかることがあるからです。日本で初めての腸管出血性大腸菌0-157による集団食中毒は、1990年代のはじめに浦和の幼稚園の園児に発生しましたが、その原因は幼稚園で使っていた井戸水が、恐らく近くのトイレから流れ出た0-157を含んだ水に、土の中で汚染されたからだろうと言われています。
また、マンションの各部屋に水を供給するために屋上に置いてある貯水塔の中では、塩素が飛んで消えてしまっていることがあります。皆さんも写真などで見たことがあるかも知れませんが、管理の悪い貯水塔では、その内部にカラスやネズミの死体が沈んでいたりするようです。そこまで悪くはなくても、時にはその内部の壁に藻が生えていることがあります。藻も微生物の一種(細菌に比べると高等ですが)です。緑色をしている藻は、ふつうの植物と同じように、太陽の光のエネルギーを利用して、二酸化炭素から生物の体の元になる有機物を作ることができます。これは光合成と呼ばれていますが、人間のように、体の成分を自分で作らないで、吸収して生活する動物と比較すると、あまり栄養のないところでの生育には適しています。このように、目に見える藻以外にも、カビや細菌の仲間も生育します。これらの微生物たちは水道水の中にほんの微量、含まれている栄養分を利用して細々と、しかし、したたかに生きています。このような栄養分はどこから来るのでしょうか?もともと流れ込んできた水道水も、まったくの純粋な水ではないので、少しは栄養分となるいろいろな物質を含んでいたでしょう。また、貯水塔に入り込んで降ってくるホコリ、ほかの微生物の死骸なども栄養分として利用しています。
このような微生物が生産するものの中に、あまり珍しいものはありませんが、井戸水や貯水塔の中の水などからクリプトスポリジウムと呼ばれる微生物が、最近になって発見されました。この微生物の入った水を飲むと、下痢をしたりすることがあります。一回沸騰させてから飲めば大丈夫ですので、特に井戸水では気を付けた方がいいかもしれません。