彼 岸 花

 絵本

 銃後の女
(ひと)たち 1
 
彼岸花

  
絵と文 井出文藏

  
B5版48頁 カラー '03.7.7.発行
   定価 1,890円
  本体1,800円プラス消費税90円、

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 2003年10月26日付 読売新聞長野版より
 
 
 切り絵作家がつづる悲恋 彼岸花 

 「どうしてお墓の近くにこんなにたくさん咲いているの」
  幼いころ、墓参りの道すがら、彼岸花の赤を見つめながら祖
 母に聞いたことがある。
 「亡くなった人が花になったんだよ」。「茎は猛毒」と聞き、
 非常に怖くなったものだ。
 「死」を想起させる彼岸花をモチーフとした悲恋物語が誕生し
 た。著者は、自らの戦争体験や郷土の民話を後世に伝えようと
 芸術性の高い切り絵を創作し続けている切り絵作家である。
  最新作の物語は戦時中、若い男女が恋仲になるところから始
 まる―。まだ学生だった男の出征が決まり、急きょ祝言を挙げ
 ることに。
 〈たった一晩の夫婦だった〉二人は戦争に仲を引き裂かれ、間
 もなく届いたのが「名誉の戦死」の知らせだった。
  愛する者の死をどうしても信じない娘の言動が徐々におかし
 くなっていく。とうとう、両親に土蔵へ閉じ込められてしまっ
 た彼女が〈のどの奥からしぼり出すような、不思議な声〉で歌
 うのが流行歌『カチューシャの唄』。
 「カチューシャかわいや別れのつらさ/ せめてまた会う それ
 までは/同じ姿で ララ いてたもれ」
  娘はその後、どうなったか。死んだ男と相まみえる悲願は果
 たせたのか。その結末はぜひとも、あなたの目でしっかりと見
 届けてほしい。
  恐怖感しか覚えなかった彼岸花への見方が、この本と出合っ
 て一変した。「不吉な死の花」から「美しい愛が結晶した花」
 へと。                     (市)
 

  

                                                             
                  

                       盆花などいらぬ    

               
                            見つけられて
                                                                    

               
                       花に戯れて
 

                     
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