日本での吾輩らの活躍はまだ不十分だといわれている。日本でのパーキンソン発病率は千人に一人強だ。欧米諸国は日本の約2倍になっている。国際比較の数字が発表される度に日本に居る吾輩の仲間は肩身の狭い思いをしている。 何故このような差が出たのか、吾輩にも判らない。しかし、日本も急激に高齢化が進んでおり、さしたる努力をしなくても、欧米と同じ水準に追いつく日はそんなに遠くないと楽観している。
吾輩の仲間に聞いてみると、「老人が好きだ」というものが多いように思える。実際のところ、高齢者になるほど発病率が高くなり、50〜70才の少し体力の弱った老人が吾輩らの狙い目となっている。
早ければ吾輩の主人のように定年前に発病する。今後年金の支給年齢が引き上げられるで、吾輩「パーキンソン」や脳梗塞に罹った場合も考慮に入れて、定年前後の生活設計を基本から立て直さなければならない。 年金生活に入ってからの発病は「悠々自適の老後を過ごしたい」、 「趣味に生きたい」、「ゆったりした旅行がしたい」、「ボランティアを経験したい」など人生最後の夢が実現できなくなる。
吾輩の主人は「病気に罹って15歳は老いぼれた」と、よくこぼしている。姿勢が悪くなり、動作が鈍く、トボトボ歩く自分の姿を見て、その様に感じ取ったのだろう。
お医者さんにも部屋の中にできるだけ多くの鏡を取り付けるように・・・言われているらしい。そうすると「とぼとぼ」「よぼよぼ」している自分の姿が映るために、「これは良くない」と、自分の姿勢を直そうとする気持ちが強くなり、治療効果を高めるらしい。鏡の中の自分の姿があまりにも惨めなためか、主人はこの方法を好まないようである。
現在のところ10数年間、吾輩と仲良くして、病気の進行を食い止め、年齢が追い付いてくるのを待つしかないと考えているようだが、この案には吾輩も賛成したい。
パーキンソン患者の男女比は1:0.7で、大差がないように思われるが、この年齢層では女性が多いため、男の発 病率が若干高いといえる。
吾輩の仲間には若人好みのものもおり、40才以下の前途のある人間を狙うこともある。
この場合は若年性パーキンソン症候群と名付けられている。 |