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【民間療法】
良いという治療法は総てやってみた

吾輩の主人は好奇心が旺盛で、インターネットで見つけた情報、口コミで得た噂、新聞、雑誌の記事などで、少しでも効果があると思えるものには、積極的に挑戦していった。
ハリ、鍼灸の「鍼」にあたるものだが、肌に刺すのは細い金属針で痛みはそんなに感じないが、背中から足のツボはもちろん頭にまで何十本も刺され、まるでハリネズミの格好でベットに寝転がっている姿は見られたものではない。
灸の方は皮膚を直接焼かれると、熱いのと跡が残るのが嫌で、温灸にしてもらっていた。吾輩の主人は熱いのは苦手らしく、お茶でも少し熱いと湯呑みを持ち上げるのを嫌がる。温灸ならモグサと皮膚の間が一センチほど空いているので、暖かくて気持ちがいい。「どちらも中国から伝わる何千年もの伝統を持つ治療法なので、その効果は否定しない・・・」と気功、太極拳を通じて中国に好感を持っている主人はいうが、パーキンソンにはさしたる効果も見られなかった。
光線治療というのがある。炭素棒を二本に向かい合わせにして電流を流すと、青白い光線が発生する。
昔の映画はこれを光源にしていた。裸になってこの光線も皮膚に直接当てる。近所の人がこの機械を持っていたので借りて使っていた。光りの当たるところは暖かくて気持ちがいいのだが、冬はほかのところが寒くて、夏は全身が暑かった。血流の促進には悪くないと思い使ってみたが、これも吾輩を痛めつける程の効果がなかった。カイロプラクチックやマッサージなども評判の良いところを選んで試してみた。施術中は気持ちがよく、良くなったような気になるが、半日か一日持つだけで、持続的な効果はない。
何という名称の治療法かしらないが、ペンチを十倍ぐらいに拡大した道具で筋肉をはさみ思いっきりねじ上げる。涙が出るほど痛いが「止めて」と思わず叫びたくなる瞬間にパッと緩められる。血管の捻れで止まっていた血が一気に流れ出す様な感じで、治療が終わった後は不思議なことに正しく歩くことが出来た。喜んでいると30分か1時間後には元の状態に戻ってしまう。
足の裏も大切ということで、青竹踏みや、足裏もみ健康法なども試みた。
「自分でやれるのはよいが、他人さまの手を煩わすものは、一回の施術が安くて3千円、普通は5千円かかるので、その費用もバカにならない」と主人がこぼしていたのを何回か聞いたことがある。
特殊な治療は別として、主として人の手でやるものは、1分間単位で
100円、施術が30分掛かるとすれば3千円、1時間だと6千円というのが、平均的な相場になっているようだ。長期間やれば効果も出てくるのだろうが、費用と効果のバランスが問題になってくる。
健康食品、流行の言葉でに言えば「サブリメント」も人が良いというものは飲んでみた。ビタミンやカルシウムなども含めて、この手のものは、日本はやたらに高い。インターネットでアメリカやオーストラリアの会社に注文する方が、航空運賃を含めても割安になる。流通業者のマージンが、高すぎるのか、値段が安いと効果がないと思っている日本人が多いのが原因かどうかは知らないが、安くて良質のものが入手できるよう改革が必要だ。
余り云いたくないようだが、吾輩の主人は神頼みのようなこともやっていたようである。クリスチャンが北海道で修業してきたという背骨にある種の「気」をいれる治療所にも何回か通った。上半身を裸にして背骨に手をかざして呪文か気合か、何か言葉をつぶやいて一分ほどで終わる。驚いたのは20〜30人の人が順番を待っている。何十人もの患者が待っている目の前でyama施術するので、インチキでないことは事実である。
ぎっくり腰で腰をかがめて入ってきた人がたったこれだけの施術で背骨を伸ばして帰っていくケースもあったが、吾輩にはこの呪文は聞こえなかった。

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