KEEP WALKING



先日買い物のついでにイトーヨーカ堂のお酒売り場に、立ち寄りました。

シーバスリーガル\2,280
ジョニーウォーカー黒ラベル\2,380
バランタイン12年\2,380

久しぶりに洋酒の値段を見ましたが、「ゲーー!えらい安いじゃんかよー!」と正直思いました。 バッタ屋のディスカウント・ショップでなく全国スーパーの店頭価格ですよー。これで運送費かけて輸入してほんとに利益が出るのかな?と思います。

うーん、まさに「デフレ時代」を体感する瞬間です。物価下がってますよ〜!

この中の黒い箱に印刷された山高帽とステッキの紳士の絵を見て、モノクロの画面、浅い川の中をビートたけしさんが黙々と歩いているCMを思い出しました。 なかなかカッコイイCMでした。
少し前ですが、結構たくさん露出してたCMです。

これは、かつて日本の洋酒市場を完全に制覇していた「ジョニーウォーカー」の起死回生、復活のための足がかりの宣伝であります。

「ジョニ黒」

海外旅行に行くことがまだ難しい時代。1$=360円時代の海外旅行。
おみやげは洋酒。

洋酒と言えば、「ジョニ黒」か「ジョニ赤」のどっちかでありました。

当時は、国内で洋酒のディスカウンターなどない時代。
もっと言えば、洋酒そのものも酒屋にそんなに種類が無かっただろうと思います。

円もまだ1$=360円時代なら、現在の3倍の価値があったはずであります。 当時の内外価格差が一番端的に実感できた商品、それが洋酒だったと思います。

その中でまさに海外旅行土産No.1の洋酒がジョニ黒だったという訳です。 日本人の大多数の方はジョニ黒以外には洋酒の名前を知らなかったと言っても過言ではありません。

しかし、わたしたちの世代が海外旅行に行き出した頃(1$=240円〜270円)からジョニ黒を買ってくる人はだんだん少なくなってきました。 同じ値段で「ジョニ黒」以外の「何か別のお酒」を買ってくる人が多くなってしまったのであります。

この理由は単純で、ただ単にみんながみんな同じもの(=ジョニ黒)を買って帰ってきていたからだと思います。 つまり「飽きちゃった」という感覚なんじゃないかな?いっぺんに売れすぎちゃったのねー。猫も杓子もジョニ黒でしたからね。

「またジョニ黒ですかぁー!?」と言われるのを嫌がる人が多くなった。それだけと思う。

で、ジョニ黒のブームが去ったその後は?

わたしは個人的には 「シーバスリーガル」であった。当時の国内販売価格1万円か1万2千円でジョニ黒と同格であった。 その当時から現在に至るまで、シーバスはわたしにとっては「たいそう美味しく」、今なお「お得な感じ」を持ち続けている酒である。

そして、もう一つ、ずーっと美味しいと思っていたのは「ワイルドターキー」というバーボンでした。

もう今から10年以上も前になりますが、洋酒ディスカウンターが出始めた頃、昔のことを思うとあまりにも安いので、「ワイルドターキー」を買ってみた。 しかし、「芳醇なコクのある甘い香りと味」でなく「なんだかすっぱい」感じがするのです。
たまたま買ったのが本物じゃなかったかもしれないと思い、輸入代理店名が瓶の後ろに貼ってあるので、違う会社のものも何本か買ったがみな同じ。 みんな甘い香りじゃなくって「チョット舌を刺すよなすっぱい感じ」がするではありませんか。

これはなぜだ?

ロットのばらつきかなー?それとも味が変わった? これは、ワイルドターキーの蔵元が質を落としているのでなく、 飲む側のわたしの周りの環境が変化したということでしょう。

だってねぇ、学生時代にウイスキーは「ホワイト」か「ブラックニッカ」でした。 いや、「レッド」でしたか?
だから、そういうものばかり飲んでいるあんちゃんに洋酒を飲ませたら きっとなんでも「おいしい」と感じるのは当然です。 それから20年以上に渡って、いろいろな種類のウイスキーを飲んでいるうちに こちらの味の感じ方が変化してしまったということでしょう。

しかし最近、『女たちのジハード』という小説を読んでいて、もしかしたらと思った。 小説の中で、1ランク上の「ワイルドターキー12年」を主人公の一人の女性が飲む。

おおぉぉ・・・、そっかー。ワイルドターキーにもランクがあったのだ!

実は先日、モルトマスター氏と酒を飲んだときにも素直にこの疑問をぶつけたところ、
「深谷さん、そりゃー12年ものだったんじゃないんですかー?
そっちでしたら、相当うまいですよー」とのご意見を賜りました。

うーん、記憶にないが、もしかしたら、昔飲んだそのワイルドターキーは、 12年だったのかもしれないと思ったのです。

いや、しかしよく考えるとこれは、やっぱり、ないな。 初めてワイルドターキーを飲んだのは、妹が海外に卒業旅行に行ってきたおみやげに買ってきてもらったものです。

会社の2年先輩と2人で出迎えに行ったのですが、迎えに車で行ってやるから「ワイルドターキー1本」おみやげに買ってきてねというのが先輩の交換条件でした。 この時に初めて「ワイルドターキー」なる名前を知りました。ふーん、そんなにうまいんだったら、お兄ちゃんにも1本買ってきてねと妹にお願いしたのです。

それを当時飲んで、「甘い芳醇な香りのバーボン」の魅力に完全に魅了されました。当時はほんとに「甘い香り」がしたと記憶しています。 それは普通の8年の大きな瓶のやつでした、確か。でも、美味しかったのよねー。

「おいしい」という記憶は、その時の自分の環境も含めての記憶です。ですから、同じものを今飲んでもおいしく感じられないことも十分ありえることと思います。

去年逮捕された世界を震撼させた赤軍の女性闘士は、かの地でジョニ黒をがぶがぶ飲んでいたと関係者がTVで証言していました。
新聞には、彼女が「国外に逃亡した当時の価値観=ジョニ黒」を象徴しているエピソードとありました。

この記事、きっと当たりと思います。彼女の時代の象徴としてのジョニ黒ですからね。

CMに出演したビートたけしさんも
「若い頃にあこがれたブランドのジョニ黒の宣伝に出演することが決まって光栄です」
という内容のコメント出していらしたかと思います。

果たして、ジョニ黒は日本におけるブランドイメージを回復できるでしょうか? 若い人には、そういった過去のブランド変遷はまったく関係ないのでこれから作っていくこと可能と思います。

ただし、今のような低価格で販売していて、いったいいつまで宣伝を入れつづけることができるかが、問題と思いますが・・・。
きょう、ドンキホーテに行ったらさらに安くジョニ黒1,980円でした。この値段では苦しいかな、やっぱ。

KEEP WALKING ジョニーウォーカー!