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わたしは名古屋の隣に市に生まれ、高校も三河地方に行ったので名古屋のお店をほとんど知らない。そのためこの名古屋の有名な食べ物「ひつまぶし」を今まで食べたことが無かった。 この日は昔東京でいっしょに仕事をしていた仲間で、今は名古屋支店で営業マンをしているイッキアマノ氏と久しぶりに飲むことになった。 「イッキアマノ」とは、飲んでいるときに頼まれもしないのに自分で「突然一気飲み」をするのを特徴としていることから命名。相当に酔っている時に強い酒でこれをやられると見ている方がビビるのである。 地下鉄伏見駅で待ち合わせをしたが、特に行く店を決めてないということで、これは「ひつまぶし」を食べるチャンス!と思った。 母親からこの”しら河”が「結構おいしい」と聞いていたので、その場でケータイで予約を入れた。 「今から15分くらいで2人入れますかー?」
そいでもって着いてみると、店の外で5人ほど席がなくて「お待ち」になっていた。
酒を飲むのが主目的なので、ミニ会席3,800円のセットを注文して量が足り無かったら追加しようと判断した。会席は2つのコースがあったが、どちらを選んでも最後にミニ「ひつまぶし」がついてくるのがポイントである。 明るく、広い店であった。 口取、刺身、湯葉しゃぶ、天ぷら、酢の物が順番に出てきてその間に生中2杯を飲んで、その後お約束のように「冷酒」を頼んだ。
この冷酒もうまかったが、9:00のオーダーストップの時間に今夜の主目的の「ひつまぶし」がとうとうやってきた。(きも吸、漬物、最後にフルーツもきた!) そのお盆の上には、短冊状の「ご注意書き」が添えられていた。 味の三様−−−−美味なる召し上がり方
1.そのままお茶碗によそってお召し上がりください。素材の良さ、焼きの確かさをご堪能いただけます。 2.お好みの薬味を添えてお召し上がりください。爽やかな香りが、鰻のふくよかさに軽さを加えます。 3.最後は、吸茶をかけてお茶漬けでどうぞ。ほろ苦いお茶の中にタレと脂が溶け出し、他では味わえない美味です。 と、イッキアマノ氏と二人でその通りやってみた。(薬味とは、「ネギとワサビと刻みノリ」のこと) うまい!ほんとうに3通りの味がする。どこかの宣伝文句ではないが、「一粒で3度美味しい」とは、このことである。 やはり、これは名古屋の合理主義が生んだ食べ物だなぁ〜!と感心し、「うまい!」「うまい!」を連発して食べた。オーバーな客だと思われたと思う。
後で、妹に聞いたところ、「ひつまぶし」を覚えきれなくて「ひまつぶし」と間違える名古屋以外の方が多くいらっしゃるそうである。
イッキアマノ氏とは、2年ぶりであったが、楽しかった。飲んだ勢いで、昔の仲間のエイゴアサイさんにケータイから電話した。 ル、ル、ル、ル・・・・・。 「はい、エイゴアサイです」
東京は青山表参道のデザイン会社で仕事中のエイゴアサイさんは、最初は何がなんだか意味が理解できなかったがイッキアマノ氏に電話を代わる頃には状況を理解し、 「あ、今、そちらに向かってますーー!」と返事を返した。この返事一本槍で、われわれ酔っ払い二人のくどい電話攻撃をなんとか乗り切った。ゴメンネ。
イッキアマノ氏は、わたしより7年後輩である。名古屋に転勤になる前までは東京以外に勤務したことはなかった。
「営業は、楽しいですねー!、深谷さん!!」 さらに他県から来ると難しいと言われる名古屋の悪口を一言も言わない。 これは、素晴らしいことだと思った。普通は名古屋の悪口を言う人が多いのである。
東京での勤務が長いとどうしても、地方に転勤になったときにその地方に馴染むまでに時間がかかる。 そして、それが馴染んだか?どうか?は、その土地の「悪口」というか「馴染めないところ」をいつまで言うかというところにかかっているとわたしは思う。
これができて「初めて、その土地での生活が始まる」と言えると思う。
その”しら河”を出て、もう一軒飛び込みで居酒屋で12時まで飲んで、タクシーでイッキアマノ氏を送って実家に戻ってタクシー代は3千円。やっぱぁー、これだけ近いと地方では飲んじゃいますよねー。
その日は、ほんとに「美味しく」「楽しかった」。 |