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当時ここには、マスターとともにチーフバーテンダーといった感じで木村さんという方がいました。
20代前半のわたしたちは、この”スミノフ”というバーで
生まれて初めてカクテルとは、強い酒で、そしてとても”おいしい”ものだと知りました。
その日の帰りに夜遅くまで開いている銀座の酒屋で、一番おいしかったドライ・マティーニのベースになっていたジンの
「タンカレー」というジンを買って帰ったのでした。
もちろん、「タンカレー」という銘柄を知ったのはこの時が初めてでした。
ドライ・マティーニの生命は、「切れ味」と「冷たさ」です。 この両方を兼ね備えたドライ・マティーニは、そんなにお目にかかれるものではありません。
”スミノフ”のマスターと木村さんの作るドライ・マティーニは、両者とも、
「カミソリのように」切れて、本当に「冷たい」マティーニでした。最高です。
同じ材料、同じ分量で作ってもこうはいきません。 では、何が違うのか?自分で作るのや他の店で作るとどこが違うんでしょう? それは、氷そのものが違う気もしますし、 それよりも「氷を扱う技術」がほかの店の人と全然違う!と見ていて感じました。 ミキシンググラスに氷を入れてから、まず最初は水を入れて バー・スプーンでかき混ぜ(ステアするといいます)その氷を溶かします。この時の氷の変化をどう判断するか? ここです。このタイミングこそが、まさに名人芸のなせる技です。 どれだけの時間か?その氷の溶け具合か?何が決めてか?わかりませんが、
慎重にこの氷の溶け具合を見ながら比較的ゆっくりかき混ぜています。
そして突然、決断するとステアするのを止めて水を捨て、すばやく、「本当に、すばやく」一瞬にして作り上げてしまいます。
客の前まで運んで、そこでレモン・ピール(レモンの皮のかけら)をサッと香りづけに絞りつける。
そして、お待たせ致しました、「どうぞ」となります。 そして、最初の一口。・・・唇が切れるがごとき「切れ味」と「冷たさ」です。最高の瞬間です。 その後、新宿、札幌、いろいろな都市のホテルなどいろいろなキチンとしたバーにもいきましたが、
ここのドライ・マティーニにはかないません。 ”クール”は、日比谷方面の銀座にあったので、場所的にちょっと遠くて夜は、なかなかいけませんでした。
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