愛の街、池袋U
どれくらい車を走らせ続けたのだろうか。
雨はあがり、彼の体からほとばしる汗が、夏の訪れを告げていた。
彼の脳裏にはまだマリ子との事が離れていなかった。
こうなることを期待してたはずなのに、彼はすべてから逃げ出したい心境だった。
なにもかも引きずりながらたどり着いたアパートの一室。
ホテルでシャワーを浴びていなかったので、シャワーを浴びようとすると電話が鳴った。
こんな時間に誰からだろう?もし、マリ子からだったら、彼は救われていたかもしれなかった。
「モシモシ・・‘メイ‘デス・・アイタイ・・・イマ、キテホシイ・・」彼女の名は「メイ」、
池袋のフィリピンパブから電話をしてきている。彼はシャワーを浴びずに、再び池袋へ車を走らせた。
愛の街、池袋へ・・・。
池袋西口から少し離れた店に「メイ」はいる。
いつもそうだが、一人で入るときはどうも落ち着かない。
店内には2、3組の客がいるだけで雰囲気は落ち着いていた。
メイは彼にすぐ気づき、抱き着いてきた。
「ホントニキテクレタノ・・」メイは興奮していた。
ママを呼んで嬉しそうに彼を紹介する。
「ママ、アタシノタメニキテクレタノ・・」
メイは日本人の父をもつハーフであり、他のフィリピンホステスたちとは別格だった。
スタイルはもちろん、そのジャパニーズのようなルックスで、メイはこの店のNO1である。
そんなメイがシングルで来てる彼にずっと着いてるのだから、他の客にヒンシュクを買いそうなものである。
そんな客どおしのトラブルが起きないようにするのはママの役目。
彼に気を遣わせず、上手に彼をこの店に陶酔させていく。
ママは言う、「メイがこんなに嬉しがるのはあなたが初めてよ」。
もしかしたらメイは本当に彼に夢中なのかもしれない。
メイはしきりに彼にドライブに連れてって欲しいとお願いしていた。
伊豆城ヶ崎の吊り橋を渡りたいと言う。陶酔している彼は何でも口約束した。
そしてメイといろんな話をした。国の家族のこと、今の仕事のこと、・・・・・。
これがフィリピンパブ、世の男たちを虜にする甘美の世界。
そして彼女たちを本気で愛し、壊れていく。

(写真と本文は関係ありません)うっちー’S BAR