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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ展





2002.6.23 OPEN




Dante Gabriel
Rossetti

ロセッティ
England;1828−1882

                                               


   ロセッティは、イギリスのヴィクトリア王朝期の美術に革新をもたらした。彼は、いわゆるラファエル前派の象徴主義画家であり詩人でもある。
 
   ラファエル前派が目指したものは、当時最高の芸術とされていたラファエルの劇的で、わざとらしさを否定し、アカデミックな様式からイギリスの絵画を解放し、ラファエル以前の、自然主義的な素朴さへに戻そうとしたものである。同グループは、ロマン主義的な絵画で人気を得た。美を追求し、繊細な写実は、様式的にはアカデミーと同じであるが、理念的には象徴派へとつながって行ったのである。グループ自体は、1850年代までしか続かなかったが、人気は衰えず、その後の象徴主義絵画のみならずシュールレアリスム運動にも、大きな影響を与えることとなった。


  ロセッティは緻密な自然描写に加え、独特の色彩感性により官能的、かつ神秘的な女性像を配した。そこには画家の美意識が窺われ、19世紀後半の世紀末の憂愁と頽廃美がある。
  ロセッティの中世趣味と女性像はエドワード・バーン・ジョーンズらに引き継がれた。

                                                                                   

  ロセッティは、破滅的な人生を送る芸術家の典型であった。彼はモデルに狂おしくなるほどの美女を求めた。そして、彼は画家とモデル以上の関係を結ばなければ、モデルとして描こうとしなかった。愛と官能と背徳の美が彼の絵の裏側に見え隠れする。だからこそ、彼の作品に惹きつけるものがあるのではなかろうか。


※ ロセッティは色鮮やかなグリーンを好んで使用している。いわゆる『ロセッティ・グリーン』であ る。このロッセティ展のイメージ・ロゴなどはこの色を意識して使用した。 




 詩篇「神曲」や「新生」で知られるダンテ。ダンテには、24歳で亡くなったベアトリーチェという永遠の恋人と呼ばれた女性がいた。ダンテは、ベアトリーチェ死後も彼女に恋い焦がれながらこの世を去る。その詩人の死から500年後、同じ名前を持つ画家は、ベアトリーチェの面影を追い求めた。画家の名前はダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ。彼は1828年にイタリア人亡命者・・・イタリアにおいて革命的秘密結社に関係したかどで死刑判決を受けた詩人であり学者であった・・・の長男としてロンドンで生まれる。

  ロセッティは早くから人生を絵画と文学に捧げようと決めていた。しかし、彼はアカデミーの美術教育に失望した。ルネサンスの巨匠ラファエルの芸術を絶対とするアカデミーの伝統に納得出来ないロセッティは、20歳のとき退学を決意し、友人の画家らとともに『ラファエル前派兄弟団』というグループを結成する。「聖母マリアの少女時代」はラファエル前派を結成した当時に描いた始めての油絵である。中世のフレスコを思わせる画風と鮮やかな色彩。その中に込められた聖書の物語がそこにある。

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ロセッティをめぐる3人の女性    -----------------------
 ロセッティは、モデルにモデル以上の関係を求めた。そして、そのモデルは、美以上のものを持っていなければならなかった。それは、彼の絵を観れば、おのずと理解が及ぶことであろう。
 ロセッティにとって、ファム・ファタール(宿命の女)は3人いたのである

  ロセッティが
エリザベス・シダルという女性と出会ったのは22歳の時、帽子屋の店員をしていた彼女は、ラファエル前派の画家達に愛されたモデルであった。テート・ブリテン美術館には、彼女がモデルとなった「ベアタ・ベアトリクス」。そして、その絵の隣の部屋には、シダルがモデルを務めたもう一枚の絵がある。ラファエル前派の仲間だったミレイの「オフィーリヤ」(に展示)である。
 ロセッティにとってシダルこそ理想の女性であり、か弱く神秘的なシダルは、ダンテの恋人ベアトリーチェそのものであった。彼はシダルと婚約し一緒に暮らし始める。夢見るような眼差しと透けるような肌を持ったシダルは、ロセッティにとって霊感の泉だったのである。

  そして、ロセッティはもう一人の運命の女と出会う。
ジェイン・バーデンという17歳の少女である。彼の心はシダルから離れていき、ジェインをモデルに、詩人ダンテと自らの愛を重ね合わせ、その思いを捧げるようにベアトリーチェを描き始める。

  ロセッティの新しい恋は、画家モリスとジェインが結婚したことで終わったかに見えた。そして、ロセッティはシダルと正式に結婚する。彼は、結婚後も他の女性達と関係を持った。シダルとは正反対の
ファニー・コンフォースのような性的で肉感的な女性とも並行して関係を続けた。

  病弱だったシダルは、心労を重ねた末に赤ん坊も流産してしまう。彼女は、常用していた阿片を過剰に服用し、「乾ききった心が永遠に私を取り巻いている。魂のない目が私に魔法をかけるのをやめた。主よ、あなたのもとに行けるでしょうか?」という言葉を残して32歳の短い生涯を終えたのである。

 罪悪感と後悔に打ちのめされたロセッティは、長い間書きためた詩の草稿をシダルの棺の中に入れ葬った。そして、一つの作品に取りかかった。死によって永遠となったシダルをベアトリーチェの最期の姿に重ね合わせて・・・。それが、『ベアタ・ベアトリクス』である。


 
            
      ベアタ・ベアトリクス
         1864−70

ベアタ・ベアトリクス  彼の最高傑作の一枚とされる「ベアタ・ベアトリクス」、この作品は19世紀のイギリス絵画を代表する作品である。
  ベアトリーチェは、イタリアの詩人ダンテが生涯愛した女性であり、ダンテの詩をこよなく愛したロセッティは、ベアトリーチェの死の時を、その繊細な筆で描き上げた。
  愛と死の両方の使者である赤い鳩。運んで来たのは、ケシの花。
  日時計が示す時は、午前9時。
  黄金の輝きの中で、地上から天に召されていく魂の恍惚。
  愛の天使が命の炎を燃やしている。
  その消えゆく炎を不安な眼差しで見つめる詩人ダンテの姿。
  祝福されたベアトリーチェは、イエス・キリストの顔を見続ける天上の至福と地上の哀しみを漂わせている。
  そして、この一枚には画家とモデルのもう一つの悲劇が隠されている。
  「ベアタ・ベアトリクス」のモデルは、ロセッティの妻エリザベス・シダル(リジー)である。
  二人の関係は、彼女の死という悲劇で幕を下ろしてしまう。
  ロセッティは、この世に存在しない運命の女・ベアトリーチェを生涯追い求めた。
  それが、彼の栄光と悲劇を生んだのである。
(12CH 『美の巨人たち』 から引用、脚色)

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18歳のときの自画像
1847
聖母マリアの少女時代
1849
受胎告知
(見よ、われは主のはした女なり)

1850





ベアトリーチェの一周忌に
天使を描くダンテ

1853−54
Portrait of Elizabeth Siddal
1854
パオロとフランチェスカ・ダ・リミニ
1855





青い私室
1857
聖ゲルギウスとサブラ姫の結婚式
1857
七塔の調べ
1857






戦の前
1858
ボッカ・バチアータ.
1859
ダヴィデの末裔
1858−64







ベアトリーチェの会釈
1859
ダンテの愛
1859−60
Fair Rosamund
1861



聖ジョージとサブラ姫
1862
ファッツリオの恋人(Aurelia)
1863−73
How Sir Galahad, Sir Bors and Sir Percival
were Fed with the Sanc Grael;
But Sir Percival's Sister Died by the Way
(Yes, that's really the title!)
1864

ヴェヌス・ヴェルティコルディア
1864−68
ファニー・コーンフォース
(The Blue Bower)

1865
Il Ramoscello
1865


最愛の人
1865−66
モンナ・ヴァンナ
1866
Regina Cordium
1866


Sybilla Palmifera
1866−70
Joli Coeur
1867
ラ・ビア・デ・トロメイ
1868−80

レイディ・リリス
1868
Mariana
1868−70
パンドラ
1869

Dante's Dream at the Time
of the Death of Beatrice

1871
Dante's Dream at the Time
of the Death of Beatrice
[detail]
    1871
緑陰のいこい
1872

Veronica Veronese
1872
ラ・ギルランダータ
1873
Sancta Lilias
1874

The Blessed Damozel
1875−78
La Bella Mano
1875
海の呪文
1877

プロセルピナ
1877
アスタルテ・シリアカ
1877
A Vision of Fiammetta
1878

La Donna Della Finestra
1879
La Donna della Fiamma
1880
The Day Dream
1880











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