| ◆ ラブハンターBB |
| BBは『素直な悪女』の撮影終了後、ロジェ・ヴァディムと離婚している。この作品で共演したジャン=ルイ・トランティニャン(当時26歳)とBB(当時22歳)が恋仲になってしまったからだ。そしてこれがBBの凄まじい男漁りの始まりでもあった。男を出し殻にして捨ててしまうと言われたBB、BBの立ち去った後には濛々たる硝煙のキナ臭さだけが残るとまで言われた。BBはスクリーン上だけでなく、私生活の面でもスキャンダラスな存在となっていく。以下では、そんなBBの男性遍歴を簡単に追ってみることにしよう(もちろん以下に紹介した以外にも、BBは数多くの男と関係を持っている)。 |
| 1. 22-24歳(1956-58) ジャン=ルイ・トランティニャンは妻帯者だった。彼は兵役に取られトリエールの部隊に入ったが、休暇で戻ってくるたびに逢瀬を重ね、その関係は2年ほど続いた。破局の原因はBBにあった。シャンソン歌手のジルベール・ベコー(当時29歳)に一目惚れしたBBは彼を家に連れ込んでいたのだが、そこにトランティニャンが不意に帰ってきたのだ。滑稽な男二人の鉢合わせ。トランティニャンは家を出て行ったっきり帰ってこなかった。BBはのちに、トランティニャンは生涯で最も深く愛した男だったと語っている。(右の写真は『素直な悪女』でのBBとトランティニャン) |
![]() ジャン・トランティニャンと |
| 2. 25歳(1959) 『バベット戦争へ行く』('59)で共演したジャック・シャリエ(当時22歳)と恋に落ちた時も、サッシャ・ディスティル(シャンソン歌手)との関係がまだ続いているときだった。そしてこの時もBBは、シャリエと眠っているときにディスティルが突然訪ねてくるという修羅場を演じている。結果、ディスティルは去り、シャリエは残った。 |
![]() サッシャ・ディスティルと |
| 3. 25歳(1959) シャリエは独占欲の強い男で、BBと子供を作ることを望んだ。BBは「青春の情熱と無知が与える力によって」(自伝より)子供を作るが、すぐに後悔するハメになる。BBはシャリエに内緒で子宮を收縮させる薬を注射したり、墮胎を請けおってくれる医師を探したりしたが、それも叶わなかった。BBは口やかましいシャリエにだんだん愛想を尽かすようになるが、未婚の母となるのを嫌って彼と結婚してしまう。が、やはりこれもすぐに後悔の種となったのは言うまでもない。生まれてきた男の赤ちゃんはニコラと名付けられた(ニコラは後にピエール・カルダンのトップモデルとなった)。しかしそれはBBにとって悪夢でしかなかったのだ。 |
![]() ジャック・シャリエと |
| 4. 26-27歳(1960-61) シャリエもまた兵役にとられた。一方BBはアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品『真実』('60)の撮影に入り、そこでまた共演者のサミー・フレー(当時23歳)と関係を持つ。それを知ったシャリエは半狂乱になり自殺未遂を起こした(シャリエとはこの後すぐに離婚、ニコラは彼が引き取った)。さらにクルーゾー監督までがBBに熱を上げるようになる。クルーゾーの妻はこれを悲観して服毒自殺した。これにはさすがのBBも精神的にやられてしまったようだ。BBは26歳の誕生日の夜、手首を切った。この一連の事件は、当時フランスで大きなスキャンダルとなった。 |
![]() サミー・フレーと |
| 5. 26-34歳(1960-68) BBの3度目の結婚は1968年のことだが、当然ながらそれまでにも多くの男と関係を持っている。どんな時でも常に主導権はBBにあった。BBが男を選択し、飽きるとポイ捨てというパターンは変わらない。BBは1960年頃から、南仏コート・ダジュールの景勝地サン・トロペに別荘を構え、ここを拠点に男漁りに精を出していたと言われる。この頃のBBは「サン・トロペの人魚」の異名を取っていたそうな。 |
![]() 「サン・トロペの人魚」 |
| 6. 34-35歳(1968-69) 1968年7月14日、34歳のBBは西ドイツ(当時)の大富豪ギュンター・サックスと米国ラスベガスで式を挙げた。サックスはヨーロッパきってのプレイボーイで、イランの元王妃ソラヤと浮き名を流したこともある人物だ。連日連夜のプレゼント攻勢、盛大な結婚式、サックスは万事に付けやることが派手だった。しかし元々ブルジョワ家庭に育ったBBには、それはあまり関心のないことだったかもしれない。結婚してもBBの男狩りは止まず、スティーヴン・ボイド(イギリスの俳優、当時40歳)などとの恋も新たに芽生え、当然ながらサックスとは離婚。今回の結婚は11ヶ月しか続かなかった。離婚前にはセルジュ・ゲンズブール(作曲家)との恋も始まっていた。 |
![]() ギュンター・サックスと |
| こうしたBBの男性遍歴はそのままスクリーン上のBBのイメージと合致していった。BBという一女性の実像とスクリーン上での女優BBの虚像は入り交じり、それがBBを取り巻く神話とでも言えるものを生み出したのである。 |
![]() オペラ座のガザでの ジャン・コクトーとの出会い |
“今日の時代の特徴のひとつは、あらゆる分野ですぐさま神話を創りだそうとすることだ。マスコミが実在の人物を発見してきて、その実生活に想像のイメージを重複させる。ブリジット・バルドーがこの奇妙な現実と神話のミックスの完璧な一例だ。彼女はほとんど宿命的に、夢と現実が混合する場に置かれているのである。彼女の美しさは文句なく完璧である。しかもその美しさには、あたかも神々に見放された年齡の熱狂者たちを魅惑する、何か未知のものを持っているのだ”……ジャン・コクトー |
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