| ◆ 女優BB |
| BBの主演作品にはいわゆる「名作」というものがない。映画ベスト100のような企画でBB主演作がランクインすることはまずないだろう。もちろんこれはBB主演作が駄作ばかりだということを意味しているのではない。BB主演作というのは主にBBのセクシャリティを素材としたもので、感動的なストーリーや深遠な哲学、情感織りなす人間模様、詩的な映像美……といった「名作」の条件を満たすようなタイプのものではないのだ。 監督たちがBBの魅力を最大限に引き出すことに腐心したのはもちろんのことである。それに加えて彼らは、BBの挑戦的なセクシャリティを前に、何とかこの小悪魔の素顔を暴き、自分のコントロール可能な支配下に拝跪させてやろうという一種サディスティックな欲望もあったろう。そういう意味でBBは、映画監督に創作意欲を湧き起こさせる女優だったと言っていいかもしれない。 BBの出演作品は別に一覧としてまとめているのでこちらを参照してほしい。 |
| BB主演作には様々なタイプのものがあるが、BBの魅力が存分に発揮されているのはコメディであると思う。「殿方ご免遊ばせ」とか「気分を出してもう一度」などがそうだ。『シネアルバム2 ブリジット・バルドー』(責任編集/山田宏一)に和田誠氏が寄せている「ボクいかれたよ・原題ディアブリジット」という文章は、こんな私の思いをまるまる代弁してくれているもので、初めて目を通したときには思わず膝を打ったものである。大事なポイントなので、少し長くなるが引用しておこう。(引用文中の"…"は中略) 「ミシェル・ボワロンのコメディ〈殿方ご免遊ばせ〉…、私はこれと、やはりボワロンの作った〈気分を出してもう一度〉というのがベストであると思う。オータン・ララの〈可愛い悪魔〉も、クルーゾーの〈真実〉も、ルイ・マルの〈私生活〉も、ゴダールの〈軽蔑〉も、それぞれに良いけれど、BBそのものを愛するファンにとっては、やはりボワロン作品が良いのではないか。…マリリン・モンローで言えば、〈バス停留所〉も〈荒馬と女〉も悪くないが、どうしても〈7年目の浮気〉と〈お熱いのがお好き〉がベストであり、どちらもビリー・ワイルダーであって、これまたコメディである。そう言えば、女がとても可愛く見えるのはいつもコメディなのかなという気さえしてくるのである。…たぶんMMにしろBBにしろ、彼女たちの持っているエロティックな部分を、さりげなく、しかも"一生懸命映画"のベッドシーンよりもいっそうエロティックに見せることができるのがコメディではないのか。…コメディにおいては気張らずに女そのものとしての可愛らしさを…比較的ストレートに出しているので、見る側も彼女たちを愛するべき女として素直に受けとめることが出来るのかもしれない」……和田誠(『シネアルバム2 ブリジット・バルドー』P.115-116) |
「殿方ご免遊ばせ」より ![]() 「気分を出してもう一度」より |
| コメディ以外でのBBの代表作を挙げるなら、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『真実』('60)、ルイ・マル監督の『私生活』('62)、ジャン=リュック・ゴダール監督の『軽蔑』('63)あたりであろうか。 |
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『真実』は興行的にも大ヒットとなった作品で、数多くの国際フェスティバルで受賞し、BB自身もこの年の最優秀女優に選ばれた。クルーゾー監督はBBの真に迫る演技を引き出すためには何でもやる男だったらしい。BBに風邪薬だと偽って睡眠薬を飲ませてまで、朦朧としたBBの表情を撮ってしまうことすらあった。その甲斐あってか(?)、BBはこの映画でやっと“一人前の女優”として認められたのだった。また、この作品で共演したサミー・フレーとの恋のもつれからBBは自殺未遂騷ぎを起こしている。 |
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『私生活』はまさにBBの“私生活”をそのまま題材にしたような作品だ。BB演じる主人公のジルが人気女優としての華々しい活躍の一方で、精神を病んでしまい最後には屋根から身を投げて死んでしまうという内容。BB自身が直前に自殺未遂騷ぎを起こしたこともあって、公開当時は大きな話題となった。監督のルイ・マルは言っている。 “この映画でトライしたかったのは、セックス・シンボルとなり、やがてスキャンダルの対象となるような奇妙な社会現象としてのブリジット・バルドーを映画の中で再生することだった”……ルイ・マル |
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『軽蔑』はヌーヴェル・ヴァーグの旗手ジャン=リュック・ゴダールとの異色の顔合わせだった。BBはゴダールのことを「左翼かぶれの薄汚いインテリ」(自伝より)と思っていた。撮影中も「君の歩き方はアンナ・カリーナに似ていない」と言っては何度もやり直しをさせられたようで、BBが気分を損ねてしまうことも多かった。こうなるとゴダールでもお手上げだ、彼は得意の逆立ちをしてBBの笑いを誘い、何とか撮影を進行させていくことに成功した。この作品もBB主演作の中では、興行的に成功したものである。 |
| 次のページにBBが出演した全作品のリストを掲載しておこう。 |
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