| 大悪党 |
1968年 日本 |
![]() 1968年 日本 監督:増村保造 出演:田宮二郎、緑魔子 公式サイト |
ここでの田宮二郎はインチキ辣腕弁護士の役。こういう野心的でギラギラした青年の役をやらせたら田宮の右に出るものはいないだろう。「夫が見た」('64)では企業買収を手掛ける青年実業家を演じたが、結局あの時は若尾文子の懇願で野心を捨て、最後には岸田今日子に刺されるというハプニングが生じてしまったのだった。しかし本作では99%田宮の計画通りに物事が進んでいたため、ひときわ田宮の余裕さ加減が印象に残った。慇懃にカマトトぶって相手の様子を探るニヒルな立ち居振る舞いは味。 緑魔子は男たちに次々と食いものにされていく生娘の役で、従来の増村作品とは女のキャラ設定が違うのかなーとか思いながら観てたのだが、最後の最後に田宮二郎をギャフンと言わせ、増村作品主演女優の面目躍如といったところ。 本作でカッコよかったのは冒頭のタイトルバック。ネガ反転させた緑魔子の裸体が何カットか映し出されるもので、そのセンスの良さには唸ってしまった。 法廷劇としてはやや強引すぎるところもあるが、いたぶられる緑魔子の姿など、見どころは多い。 ★★★★ テアトル梅田にて鑑賞 2001/02/01 |
| からっ風野郎 |
1960年 日本 |
![]() 1960年 日本 監督:増村保造 出演:三島由紀夫、若尾文子 公式サイト |
とんでもないB級ムービー。面白すぎる。笑えます。 主演は当時すでに世界に名を馳せていた文豪・三島由紀夫。本作は三島の映画初主演作になった。 冒頭、三島がスクリーンに映って一言セリフを吐いた瞬間、場内からは失笑が! なぜならボディビルで鍛えた上半身裸の "近代ゴリラ" の姿とそのあまりの演技の下手さ! わたしもついつい吹き出してしまった。しかもこの作品、その後もなぜか三島の肉体を誇示するようなショットが多くて、そのつど笑いが込み上げる。 三島が演じるのはヤクザの跡取り息子。しかしこれがどうにも頼りない軟弱ヤクザ。こうした役柄は、文弱の徒であることにコンプレックスを感じて肉体を鍛え、せめてスクリーンの中でだけでも硬派な男を気取ってみせる三島への最大の皮肉にも思えてしまう。 ヤクザ映画の常として、三島はラストシーンで死に際を演じるのだが、三島が一生懸命演じているその姿がまた滑稽で、こんなシリアスな場面でも笑いをこらえることができなかった。たぶん三島はこのシーンを一番やりたかったのだろうなあ。 三島文学愛好者のわたしとしては、とても「金閣寺」(1957)を書いたのと同じ人だとは信じたくなかったりして(笑)。 ★★★ テアトル梅田にて鑑賞 2001/01/27 |
| 大地の子守歌 |
1976年 日本 |
![]() 1976年 日本 監督:増村保造 出演:原田美枝子、岡田英次 梶芽衣子、田中絹代 公式サイト |
伊予国の霊峰石鎚山で暮らしていた13歳の少女・りんが、女衒によって瀬戸内海の小島の娼家に売られてそこで3年間を過ごしたのち脱走、四国88ヶ所を巡るお遍路さんとなるまでの壮絶な運命を描く。物語はお遍路となり四国山中を行脚する現在のりんの姿の合間に、これまでのエピソードが挿入される形式で進むのだが、こうした構成は他の増村作品にもよく見られるような気がする。 この作品の魅力はなんといっても原田美枝子(当時18歳)の体当たり演技に尽きる。恐ろしく自我が強く、決して他人の力を恃もうとしない勝ち気な少女。四六時中、喚いたり暴れたり殴りかかったり走ったりばかりしているテンションの高さ。反抗ばかりしているお仕置きに裸で両手を頭上に縛られて鞭打たれるSMっぽいシーンもあるのだが、18歳ながら乳房もあらわに壮絶な演技である。観ているほうがその迫力に気圧されるほど。 すごいとしか言えない作品です。 ★★★★ テアトル梅田にて鑑賞 2001/01/27 |