ベニスに死す morte a venezia

1971年 イタリア=フランス



1971年 イタリア
監督:ルキノ・ヴィスコンティー
出演:ダーク・ボガード
   ビョルン・アンドレセン
   シルヴァーナ・マンガーノ
やっぱりヴィスコンティー映画は苦手です。
劇場で見てもその思いは変わらなかった。
こんなこと言ってるわたしは無粋者でしょうか?

原作はトーマス・マンで、一人の美少年に心を掻き乱されて苦悩する初老の音楽家を描いた話。この音楽家のモデルはグスタフ・マーラーとも言われているらしい。ほとんど妄想だけで成り立っているような映画、といった印象。

さてどういう点が苦手かと言うと、物語があまりにも悠然としたテンポでゆっくりとしか進行しないから。冒頭に主人公の音楽家を乗せた船が海上を航行する幻想的なシーンがあるのだが、早くもこの時点でイライラしてくる。「こんなシーン必要なのか?」とか思ってしまうわけで、まあこれは一例に過ぎないとしても、全体の傾向として何らかの「事件」が起きるまでの情景や感情の描写が長く描かれすぎているように感じてしまうのだ。もちろんこうした演出はヴィスコンティーの狙いだろうし、映画としての出来が悪いとか冗長だとか、そんなことを指摘したいのではない。誰にでも好みの作風というのはあるわけで、ヴィスコンティー映画はわたしの肌には合わないなぁ、とそれだけのことです。

もちろん映像の美しさと、そこに重ねられた音楽の調べの妙には目を見張らされるのだけど。


★★ 動物園前シネ・フェスタにて鑑賞 2001/02/11





最高殊勳夫人

1959年 日本



1959年 日本
監督:増村保造
出演:若尾文子、川口浩
   宮口精二、船越英二

公式サイト
早口のセリフ回しでテンポよく気の利いた会話を次々に展開していく、日本版スクリューボール・コメディ。劇場内には笑いが絶えず、他の増村作品上映時とはまた違ったリラックス・ムードが漂っていた。

が、わたしはこの日どうにも体調が悪く、おまけに睡眠不足で途中ウトウトしかけたりしてしまった。決して面白くなかったからというのではなく、映画を存分に楽しむには健康管理も大事なんだね、という話なのでした。

というわけでレヴューは書けないし、評価も留保しときます。


体調不良のため採点不可 テアトル梅田にて鑑賞 2001/02/04





地図のない町

1960年 日本



1960年/日本
監督:中平康
出演:葉山良二、吉行和子
   宇野重吉
"地図のない町"というのは、地図上には存在しないことになっている番地のない地域、つまり戦後の混乱時に行き場を失った人々が市有地などを"不法占拠"してできた"町"のことを指す。昭和30年代まではこうしたドヤ街・寄せ場があちこちに見られたのだと思う。しかし昭和40年代に入る頃には、そうした場所は次々と近代的な住宅地へ姿を変えていった。本作は、自分たちの"町"を守ろうとする人々と、"町"を撤去して市営住宅とスーパーマーケットの建設を施工しようとする建設会社の闘いをテーマに、"町"に育った若い医師が建設会社社長に殺意を抱くようになるまでの過程をサスペンス・タッチで描いている。

この物語は"町"の人々の視点で貫かれているから、建設会社社長は腹黒い冷酷な男として描かれている。しかし日本が復興してケイザイ大国への道を駆けあがるためには、こうしたヒール役となる人物が必要だったことは言うまでもない。"町"の人々=正直で善良な人々、建設会社社長=私利私欲にまみれた冷血漢、という構図はどうしても古めかしい。

中平康といえば"モダニスト"として、若者の奔放さを描いた「狂った果実」(56)や「月曜日のユカ」(64)などの仕事が真っ先に思い浮かぶが、当時の社会情勢に深く根差したこういう作品も撮っていたのね、というのがわたしにとってはひとつの発見でした。


★★★ テアトル梅田にて鑑賞 2001/02/04






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