キャスト・アウェイ cast away

2000年 アメリカ



2000年 アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス
   
ヘレン・ハントニック・サーシー
   クリス・ノス
   ラリ・ホワイト

公式サイト
宅配便会社フェデックスの社員を演じるトム・ハンクスが飛行機事故に遭い、太平洋上の無人島に漂着、そこでの数年間にわたるサバイバル生活を克明に描いた「現代版ジョン万次郎漂流記」。トム・ハンクスは懐中時計に収められた恋人の面影を支えに過酷な生活を耐えていくのだが、たったひとり孤独と闘いながら食料を調達したり、火起こしに苦労したり、脱出用のイカダを作ったりする無人島生活は、トム・ハンクスの風貌の変化も相俟って、なかなかの説得力を持って描けていたように思う。

感心しなかったのは、なんとか脱出できてからの描写。恋人に再会して失望したり、今後どう生きていくかを思い悩んだりする「トム・ハンクスのその後」が描かれているのだが、これが一から十まで長々と説明されているものだから、観る側の想像力が入り込む余地を許さないという感じになってしまっているのである。結果、物語の重点がサバイバル生活にあるのか、脱出後のトム・ハンクスにあるのかがよく分からなくなってしまった。144分の映画が終わってみれば、ハテこれは何の映画なんだっけということになってしまって、せっかくの無人島生活描写までが色褪せて見えてくる始末だ。あれもこれもと詰め込みすぎると、こういう中途半端な印象しか残さなくなってしまうのである。


★★★ 北野劇場にて鑑賞 2001/03/25






はなればなれに bande a part

1964年 フランス



1964年 フランス
監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:アンナ・カリーナ
   サミー・フレイ
   クロード・ブラッスール

公式サイト
60年代のパリ郊外を舞台にした強盜ごっこと三角関係の小さな物語。たったこれだけの話だけど、この映画にストーリーなんて関係ない。アンナ・カリーナ@23歳のキュートな仕草と3人の男女が織りなす微笑ましい幾つかのシーンだけで、もう観る価値十分。なんてったって日本初公開だし、ワタシたちにとってはゴダールの新作が2001年のいま観られるようなものなんだ。ゴダールがこの作品を恥じてお蔵入りさせたのも頷けるようなはしゃぎぶりが目には付くものの、いまとなってはそこがまた当時のゴダールの気分を如実に映し出していて面白かったりする。

自転車でパリの町を駆け抜けるアンナ・カリーナが、誰もいない道なのに手を右に左に差し出して手信号で合図する可笑しさ。クロード・ブラッスールに「時代遅れの髮型だ」と言われ、束ねた髮を慌ててほどいて手鏡でチェックしている時のアンナ・カリーナの大きな目。クロード・ブラッスールに「キスの経験は?」と問われ「あるわ。舌を使うんでしょ」と応えたアンナ・カリーナが本当に舌をベロンと出してしまうムードもなにもないキス。わずか5メートルくらいの幅の川を渡るのに、わざわざ岸にロープで括りつけたボートを使う洒落っ気。カフェで「さして話題もないから1分間沈默しよう」とサミー・フレイが提案し、本当に効果音もなにもないまま劇場内が静まり返ったシュールな一幕。カフェのフロアーで3人の男女が一列に並んでマディソン・ダンスのステップを踏む真似したくなるような光景。広大なルーブル美術館を世界一速く観てまわる世界記録を作ろうと、警備員が制止するのも構わず3人が手をつなぎながら全速力でギャラリーの数々を駆けていって樹立した記録9分43秒。……最高でしょ?

まさか21世紀になって「はなればなれに」が観られるなんてねー。


★★★★ テアトル梅田にて鑑賞 2001/02/24





地獄に堕ちた勇者ども la caduta degli dei

1969年 イタリア=スイス=西独



1969年 イタリア=スイス
監督:ルキノ・ヴィスコンティー
出演:ダーク・ボガード
   イングリッド・チューリン
   ヘルムート・バーガー
   シャーロット・ランプリング
ナチスの台頭と、それに翻弄された鉄鋼一族の悲劇。

頽廃的な映像美の素晴らしさにまず目を奪われるが、中でも光の使い方が傑出している。ナチス突撃隊の乱痴気騒ぎのシーンで見られる赤や橙や青の妖しい光。結婚式のシーンでの幻想的なローソクの光。その場のデカダンな空気が匂ってくるようで、こうした映像を撮らせたらさすがにヴィスコンティーはうまい、うますぎる。

ナチス親衛隊や突撃隊の制服、赤と黒と白の鉤十字旗には、暴力と狂気と頽廃が混在した戦慄的な美を感じてしまうが、それは不謹慎なことだろうか。

物語としては「
ベニスに死す」で言及したような苦手意識が働いてしまって、どうにものめり込むまでには至らなかった。


★★★ 動物園前シネ・フェスタにて鑑賞 2001/02/11







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