原価に関するミニ知識初級編
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そもそも原価とは何だろう
原価とは、一言で表せば、『品物を作るために使われたお金』です。その中身は、品物を作るに従って変わっていきます。
「原価」の中身を炒飯の例で説明しますので思い浮かべてください。
炒飯を作るには、卵、ハム、白飯などの“材料”が必要です。材料は自分で作っている以外は、購入しなければなりません。この材料を“人”が包丁、まな板、ガスコンロ、フライパンなどの“道具(設備)”を使って調理します。調理には、ガスや電気などの“エネルギー”も必要です。このように炒飯を作るには、材料、人、道具(設備)、エネルギーの4つの要素が使われます。
炒飯を作るために使われる4つの要素−それをお金に換算すると「原価」になり、品物をつくるための原価を「製造原価」と呼んでいます。
原価計算の歴史をひもとく
品物を1つ作るのにかかる原価を集計し、その情報を必要とする人に伝えることが「原価計算」です。“原価計算は、会社の中で経理部門の仕事なので、私の部門にはあまり関係がないし、何か難しそうだから…”などと考えている人はいませんか。原価計算は何のためにやるのでしょうか。その目的を探るために、原価計算が発展した歴史をひもといてみましょう。
■当初の目的は製品の売価決定
原価計算の目的は、時代と共に変わってきています。当初原価計算は、製品の売価を決めるために、製品の原価を発見する方法として生まれました。製品の売価を決めるには、“実際にかかった原価”を集計する必要があり、実際製造原価を把握することに重点が置かれていました。そしてこの実際製造原価に利益を加えて売価を決めていたのです。
原価+利益=売価
■次の時代は原価を管理する
しかし、企業間の競争が激しくなり、売価は他社との競争や顧客の要望により決まることが多い時代になってきました。この時代では、売価の決定よりも決められた原価でいかに作るかという、「原価管理に役立つ原価計算」が必要になりました。
原価管理は、決められた原価(これを標準原価といいます)と実際にかかった原価(これを実際原価といいます)を比べ、ムダを排除することです。この原価管理の考え方は、製造部門だけではなく、営業部門や本社の管理部門にも普及しました。それは、製造部門が努力して原価を管理しても、営業部門や管理部門でムダが発生しては、製造部門の努力が水の泡となってしまうからです。
営業部門で発生するお金を“販売費”、管理部門で発生するお金を“一般管理費”と呼び、製造原価に販売費と一般管理費を加えたものを“総原価”といいます。
製造原価+販売費・一般管理費=総原価
このように原価管理の対象は、製造原価から総原価に拡大しました。
■さらに進んで利益を管理する
総原価により会社全体の原価が把握できるようになると、原価計算の目的も原価管理から「利益管理」に重点が移ってきました。利益は売上高から原価を引けば計算できます。
売上高―原価=利益
「来期の売上を10%増やせば利益はいくらになるか」、「来期の目標利益を確保するにはいくら売上がなければならないか」などは、会社でよく話題になる利益管理の問題です。利益を管理するには、売上高が増えたり減ったりすると原価がどう変化するかをつかむ必要があります。
ここに、売上高、原価、利益を計画し管理する仕組として“予算制度”が誕生しました。
また、ヒット商品が出たときなど、現在の設備能力や人員で売上高に対応できるかなどを検討する必要があります。設備投資に代表される意思決定は、会社の基本となる計画そのもので非常に重要です。何十億もする設備でも、企業専用のものであれば、不況になったからといって、簡単には売却できません。このように設備投資に使ったお金は、売却しても回収できないので慎重に決めなければなりません。
この意思決定には原価計算を用います。設備投資によりどれだけ原価が安くなるか、どれだけ利益が増えるか、などの経営で活用される原価計算が必要なのです。
世の中の環境がめざましいスピードで変化する今の時代では、慎重になりすぎてビジネスチャンスを逃しては競争に勝てません。経営の基本計画を作るために、速くて正確な原価情報の提供することに、原価計算の目的があります。
原価計算の目的は5つある
原価計算の目的は、時代の流れと共に変わってきましたが、現在では次の5つの目的があるといわれています。
@財務諸表目的
儲けを計算する財務諸表作成に必要な真実の原価を集計すること。
A価格計算目的
売価計算に必要な原価資料を提供すること。
B原価管理目的
原価管理に必要な原価資料を提供すること。
C予算編成・期間計画目的
予算の編成や予算編成に必要な原価資料を提供すること。
D特殊調査・計画目的
経営の基本計画を設定するにあたり、これに必要な原価情報を提供すること。
@の財務諸表目的は、企業の株主など外部の利害関係者に情報を提供する目的(財務会計目的)であり、A〜Dは、企業の経営者や管理者など内部に情報を提供する目的(管理会計目的)です。
原価計算は単一の目的を持つものではなく、同時に二つないし三つの目的をもっているものです。これらの目的は、すべて同じウエイトではなく、使う人により重要な目的は異なっています。それは、業種や会社の生産形態、その他の要因によって決まるものです。
原価の3要素とは
原価を構成している要素は、大きく材料費、労務費、経費の3つに分けられ、これを「原価の3要素」といいます。製造原価に占めるそれぞれの比率は、業種により差はありますが、材料費が64%、労務費が13%、経費が23%といったところが一般的です。
製造原価の材料費の中身
材料費は物品を使うことにより生ずる原価であり、物品の中身により細かく分けることがあります。炒飯では、卵、ハム、白飯、野菜などは原材料ですが、塩やこしょうなどの調味料やサラダ油は買入材料、フライパンを拭く布巾などは消耗品というように細分化することもできます。
このように材料費はその内容により5つに分類できます。
@素材費または原料費
製品の主構成となる鉄、ステンレス、木材などです。
A買入部品費
外部から買い入れて製品にそのまま取り付ける部品をいいます。塩、こしょう、サラダ油もこの分類に含まれます。
B燃料費
製造に使う重油、石油、液化ガスなどです。これらはエネルギーとして使われます。
C工場消耗品費
製造現場で補助的に使われる油、塗料、軍手などです。
D消耗工具器具備品費>
ドリル、カッター、スパナなどの工具や検査器具など製造の道具として用いるものです。ただし、価格が20万円未満か耐用年数が1年未満のものに限られます。
製造原価の労務費の中身
労務費は人の労働力を消費することにより生ずる原価です。自分で料理を作れば出費はありませんが、人を雇って作ってもらう場合は労務費が発生します。ひと口に労務費といいますが、これは総称であり、その中身は6つに分類できます。
@賃金
工場の現場で働く人に支払われるものです。
A給料
工場の技術部門や事務部門で働く人に支払われるものです。
B従業員賞与手当
年3回までに分けて支払われるボーナスと、通勤手当、家族手当、住宅手当など作業に直接関係のないものを含みます。時間外手当や深夜手当など作業に関係する手当ては、賃金や給料に含まれます。
C雑給
工場で働くパートタイマーや臨時雇いの人に支払われるものです。
D退職給与引当金繰入額
退職時の退職金に備えて、事前に毎月の費用としているものです。
E福利費
健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険の会社負担分です。
製造原価の経費の中身
材料費、労務費以外の原価は経費と呼ばれます。材料費、労務費以外ですからその中身は多種にわたりますが、中心はエネルギーと設備関係のものです。
炒飯では、ガス代や電気代などの光熱費(エネルギー)と電子レンジ、ガスコンロなどの設備が該当します。経費は、中身により次の4つに分類できます。
@測定経費
電気代、ガス代、水道代などのように、メーターで消費量を計ることができる経費です。
A支払経費
修繕費、旅費交通費、外注加工費などのように、実際に支払った金額で消費高とする経費です。
B月割経費
保険料や固定資産税は、数カ月分をまとめて支払いますが、原価計算上は一か月分で計算します。
C発生経費
実際に発生しているが支払いを伴わない経費です。代表的なものに、棚卸をして使えなくなった材料は棚卸減耗費と呼び、減耗分を経費とします。
原価を製品との関連で分類すると
製品との関連による分類とは、原価の発生が製品別に直接とらえることができるかどうかの分類です。製品ごとの原価を正しく計算するには、その製品に使われた材料費、労務費、経費を集計する必要があります。特定の製品に使われたことが分かる原価が“直接費”、分からない原価が“間接費”です。
炒飯では、卵や野菜、白飯など材料費のほとんどが直接費となり、電気代・ガス代のように直接的に把握しにくい原価が間接費となります。
@直接費
直接費は、どの製品を作るために使ったかがはっきりとらえることができる原価です。材料費でいえば、直接製品になり、製品の一部を構成する原価です。ところが、工場消耗品(溶接芯線、はんだなど)のように、製品別に直接とらえることができる原価であっても、金額が小さいものは、間接費に分類することが一般的です。
A間接費
間接費は、原価が発生したときに、それが数種類の製品に共通的に使われ、特定の製品に関連付けることがはっきりしない原価です。材料費でいえば、補助材料費、器具費などであり、労務費では間接賃金、監督者給料などが間接費にあたります。
製品別の原価を正しく把握するには、なるべく直接費として集計することが望ましいのですが、手間もかかりますので、目的を明確にして集計することが大切です。
原価を仕事量との関連で分類すると
これは、仕事をすればそれに正比例して発生する原価と、仕事量には関係なく発生高が決まっている原価とに分けることです。仕事量に正比例して発生する原価を“変動費”、発生高が決まっている原価を“固定費”と呼びます。
@変動費
変動費は、仕事量が増えたり減ったりするとそれに応じて増えたり減ったりする原価要素です。炒飯を1人前、2人前、3人前と作る量を増減させることに正比例する原価なので、材料費のほとんどは変動費になります。
A固定費
固定費は、仕事量が増えても減っても、その発生額が固定的で変化しない原価要素です。たとえば、設備の減価償却費、保険料、賃借料などがその典型です。これらの原価要素は、毎月の仕事量が増えても減っても、それには関係なく一定額が発生します。
さらに、仕事量との関連による分類には、変動費と固定費の中間的な位置付けとして“準変動費”と“準固定費”があります。
B準変動費
電話代や電気代などは使用量に応じて発生しますが、全く使わなかったとしても基本料金がかかります。このように、仕事量がゼロの場合でも一定金額が発生し、同時に、仕事量の増加に応じて発生額も正比例する原価要素が準変動費です。
C準固定費
また、ある一定の生産量の範囲では固定的であり、これを超えると急増し再び固定化する原価要素があります。たとえば、10人分までは今のお鍋で調理できても、20人分になればお鍋を新しいものに買い換えなくてはいけません。30人分ならさらに。このような原価要素が準固定費です。
原価を管理との関連で分類すると
原価の発生が一定の人によって管理できるかの分類です。会社の中で全ての原価は管理できますが、人によっては管理できない原価もあれます。原価責任を明確にするためには、各人で管理できる原価の範囲を明確にし、管理できない原価は上位の管理者に振り替える必要から生まれた分類方法です。
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