品質コストの中身は何か
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(1) 品質コストの背景
TQM、ISO9000、MB賞、シックスシグマなど品質管理活動の全社的な拡大傾向は、それに関連して発生するコスト(品質コスト)を増大させ、企業利益に重大な影響を与えるようになった。
ここに品質管理活動の合理的な管理が要請されたのである。しかしながら既存の会計・管理システムのもとでは、品質管理活動に要するコストを合理的に管理するという要請に対処することは困難であった。
このような経済環境を背景に開発された管理会計技法が品質コスト(品質原価計算)である。
図表1
品質コストは、欧米では、製品の企画やマーケッティング、開発・設計など、経営活動全般に関連する各種の戦略的な意思決定をサポートする分析ツールとして、1960年代から注目されてきた。
そして、図表1のように今日では、全社的な品質管理活動の主要な実践ツールのひとつとして広く認知されてきている。
(2) 品質の評価指標
品質の良否を示す指標は各社にありデータも取られているが、その多くは断片的な数値であって、全社の品質を評価する指標になっていないことが多い。それは物量値を基礎にした指標を使っているために、全社の数値として合計することができないからである。
品質の最終的な指標は、図表2のように品質のアウトプット指標とインプット指標に区分される。一般に不良率と呼ばれる指標は、品質のアウトプット指標である合格率の逆数である。ここでは社内および外部失敗コストを製造原価で除した値としている。すなわち不良率の低減をコストダウンの指標とする。
一般に品質管理は良いものを作る、というアウトプットに目が向き、品質を安いコストで作り出すという、インプットの面からの追求がおろそかになりがちである。
品質を作り出すコストを品質コストと言い、その内容は予防コスト(Prevention cost)、評価コスト(Appraisal cost)、失敗コスト(Failure cost)がある。これらはPAFアプローチと称され、アメリカ品質管理協会など、一般に認められた品質コストの分類方法である。
図表2
(3) 予防コスト(Prevention cost)
予防コストは、製品のデザインと開発における欠陥を防ぐ、すべての活動コストである。このコストは、経営者の自由裁量的な管理可能費(自発的原価)であり、評価コスト、失敗コストを低減させるために発生するコストと位置づけられる。
図表3は、予防コストの例である。
図表3
(4) 評価コスト(Appraisal cost)
評価コストとは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスが要求条件に合致しているかどうかを決定するための検査、テストおよび評価を行うために要するコストである。
この要求条件とは製造手順、工程に関する技術文書、技術情報と同じように、マーケッティング部門や顧客からの仕様書を含む。そして、これらの文書は適切な内容で、きちんと整備されていなければならない。
評価コストも予防コストと同様、経営者の管理可能費(自発的原価)である。図表4は、評価コストの例である。
図表4
(5) 失敗コスト(Failure cost)
失敗コストは、製品が要求条件に一致しないために、いろいろな事柄に関連して発生するものである。このコストに含めなければならないのは、評価、不適格品の処理および不適格品によって生ず消費者問題のコスト、ならびにそれらの原材料コストと労務費である。時には、失われた信用に相当するコストを含めなければならない。
失敗コストは、図表5に示すように、社内失敗コストと社外失敗コストに分けることができ、経営者にとっては管理不可能な非自発的原価とみなされる。
図表5
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