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平成18年改正意匠法概説

平成18年6月7日に公布されました、改正意匠法についての概説です。
なお、先取り情報ですので、内容の保証は致しかねます。特許庁からの公式な改正本が発行されましたら、それに則して修正いたします。

2条2項追加
 改正後:物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、以下の要件に該当するものが含まれる。
 <要件>
 @物品の操作の用に供される画面であること。
 A物品の操作は、当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限ること。
 B当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものであること。

2条3項修正
 「実施」に、「輸出」を追加した。
 <理由>

2条4項は、旧2条2項と同じ。

3条の2但書追加
 以下の要件に該当する場合は、3条の2を適用しない。
 <要件>
 @当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であること。
 A当該意匠登録出願が、20条3項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報の公報発行の日前に行われていること。
 B上記意匠公報は、秘密期間経過後の公報でないこと。
 <ポイント>
 @同一出願人には、3条の2の適用はない。
 A同一出願人が3条の2の適用を免れるためには、意匠公報発行前に後の出願を行わなければならない。
 B従来は、小さい意匠(部分や物品)→大きい意匠(全体意匠)の順に出願しなければならなかったが、この改正によって、意匠公報発行前であれば、出願の前後は問題とならなくなる。使いやすくなった。

4条3項(新規性喪失の例外)
 自己の行為に起因して新規性喪失の例外の適用を受ける場合の証明書の提出期限が、延長された。
 従来:14日以内
 改正後:30日以内
 ただし、従来通り、新規性喪失の例外の適用を受けるための旨を記載した書面は、出願と同時に提出する。使いやすくなった。

10条1項(関連意匠)
 従来:同一出願人による本意匠と関連意匠とは、同日に出願した場合に限り、9条2項(同日出願)の規定に関係なく、登録を受けることができた。
 改正後:関連意匠は、本意匠の公報発行の日前に出願していれば、9条1項(先後願)及び2項の規定に関係なく、登録を受けることができる。
 ただし、ここでいう公報発行は、秘密期間経過後の公報を含まない。
 <ポイント>改正後は、関連意匠を本意匠と同日に出願しなくてもよくなる。したがって、バリエーションの意匠を、最初に出願のあとに追加できる。使いやすくなった。「9条1項の規定に関わらず」が追加となっているので注意。
 <注意>10条3項があるので、関連意匠にのみ類似する意匠は登録にならない。したがって、追加する際に、本意匠がどれになるのか(事後補正も含めて)検討しなければならない。特に、追加を繰り返すことによって、関連意匠のみに類似する関連意匠が理論上は出てくるので、注意が必要。

 10条2項
  本意匠の意匠権に専用実施権が設定されている場合、関連意匠は登録を受けることができない。
 <ポイント>
  専用実施権は、意匠権発生後にしか設定できないが、意匠公報発行前に、設定が可能であるので、理論上はあり得る問題である。そのため、意匠権の設定登録後に関連意匠を出願しなければならない場合は、関連意匠出願の後まで、専用実施権の設定を遅らせる必要がある。

 14条(秘密意匠)
 従来:秘密意匠の請求をする場合、出願と同時に請求しなければならなかった。
 改正後:1年分の登録料の納付と同時にも、秘密意匠の請求ができるようになる。
 <ポイント>利用しやすくなった。施行規則10条の改正に、実務上は、注意する。

 17条(拒絶理由)
 拒絶理由に、10条1項〜3項が追加。3項は、単なる条文移動。1項及び2項に注意する。

 21条(存続期間)
 従来:意匠権(関連意匠を除く)の存続期間は、設定登録の日から15年。
    関連意匠の意匠権の存続期間は、本意匠の意匠権の設定登録の日から15年。
 改正後:意匠権(関連意匠を除く)の存続期間は、設定登録の日から20年。
    関連意匠の意匠権の存続期間は、本意匠の意匠権の設定登録の日から20年。
 <ポイント>存続期間が長くなった。関連意匠は、本意匠の設定登録から意匠公報発行の日前まで出願できるので、関連意匠の出願日が、本意匠の設定登録の後ということもあり得る。このような場合、関連意匠の存続期間の始期が関連意匠の出願日からであるのか、遡って本意匠の設定登録の日からであるのか、問題となる。特許庁の公式見解を待つ必要がある。

24条2項(登録意匠の範囲等)
 改正前:登録意匠の類否判断の基準について、対立があった。代表的には、創作説と混同説である。創作説では、判断の主体は、当業者。混同説では、判断の主体は、需要者(取引者を含む)。
 改正後:類否判断の基準が明確になった。判断は、需要者(取引者を含むとされている)の視覚を通じて起こされる美観に基づいて行うこととなった。混同説の立場を採用したと考えられる。判例に則している。なお、この条文が3条1項3号の審査基準に与える影響に注目したい。

38条(間接侵害)
 2号が追加。
  意匠権侵害物品を業として譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為も侵害行為とみなされる。
 <ポイント>従来、「所持」は、法上の実施ではないので、直接侵害には該当しないとされていたが、実施のおそれとして、差止請求の対象となり得た。今回の改正により、譲渡等目的の所持が間接侵害となり、より権利者に有利となる。
 1号には、輸出が含まれていないので注意する。

42条(登録料)
 16年〜20年分の登録料:11年以降と同じ。

44条の3(回復した意匠権の効力の制限)
 登録料の追納によって意匠権が回復した場合の効力制限規定に、譲渡等目的の所持が追加。
 38条の改正に合致させる改正である。
 <注意>当然であるが、「業として」は要件ではない。

48条(無効理由)
 10条2項(専用実施権が設定されている場合)が無効理由に追加。
 従来通り、10条1項は無効理由でない。また、10条3項は無効理由。

55条(再審により回復した意匠権の効力)
 以下の要件に該当する場合は、再審により回復した意匠権の効力は及ばない旨が追加。
 @善意であること(知らないということ)
 A登録意匠又は類似する意匠に係る物品の譲渡等の目的による所持

69条(侵害の罪の罰則)
 意匠権侵害の罰則が、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となった。
 さらに、併科が可能となった。
 ただし、間接侵害は本条の対象とならないことが明記された。
 <ポイント>罰則が厳しくなった。

69条の2
 間接侵害行為を行った場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金。
 さらに、併科もある。
 <ポイント>69条の直接侵害に比べて、罰則は緩やか。

74条1項(両罰規定)
 3億円以下の罰金。
 <注意>69条、69条の2、73条第一項の罰金額が同一である。

74条3項
 時効=公訴時効? 公式見解待ち。

附則
平成19年1月1日から施行
 2条3項(輸出のところ)
 38条(間接侵害)
 44条の3(追納による回復のところ)
 55条(再審による回復のところ)
 69条、69条の2、74条(罰則関係)

平成18年9月1日から施行
 4条(新規性喪失の例外のところ)

平成19年4月1日から施行
・ 画面デザインの保護の拡充(意匠法第2条第2項)
・ 部分意匠制度の見直し(意匠法第3条の2)
・ 関連意匠制度の見直し(意匠法第10条等)
・ 秘密意匠の請求時期の追加(意匠法第14条)
・ 意匠権の存続期間の延長(意匠法第21条、第42条)
・ 意匠の類似の範囲の明確化(意匠法第24条第2項)

経過措置
@2条2項(画面のところ)、3条の2(同一人の後願ところ)、10条(関連意匠)、14条(秘密意匠)、17条(拒絶理由)、21条(存続期間)、42条(登録料)、48条(無効審判)の規定は、施行後(平成19年4月1日以降)の意匠登録出願から適用。
A4条の規定は、
平成18年9月1日以降にする意匠登録出願から適用。
B2条3項(輸出のところ)、38条(所持のところ)、44条の3、55条の規定は、施行後(平成19年1月1日以降)の行為から適用。




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