「奥多摩むかし道」は、奥多摩町氷川から小河内までの旧青梅街道を、奥多摩
町がハイキングコースとして整備したものである。クルマの往来がはげしい国道
とは異なり、いまでも旧街道の静けさと面影を残し、昔をしのぶ道として貴重な
存在となっている。
天気予報は午後から雨と伝えていたが、青梅線に乗り換え鳩の巣駅を過ぎた頃
から小雨が降ってきた。奥多摩駅で雨具をつけて歩きはじめる。木々はいっせい
に芽吹き、新緑が雨にぬれて目にまぶしいようだ。むかし道に入ると急に道幅が
せまくなり、羽黒三田神社の急坂になる。羽黒坂で昔は荷物を積んだ馬や大八車
が苦労したそうだ。小河内ダム建設のために敷かれた貨物線の線路跡をすぎると
槐木につく。
馬頭観音のお堂とサイカチの大きな樹が枝をいっぱいに広げてい
た。多摩川の流れやところどころに現れる貨物線路を見ながら、ウグイスやシ
ジュウカラのさえずりを楽しみ新緑の中を歩いていく。
予定より早く不動の上滝の広場についた。雨もほとんど止んでいるのでランチ
タイムにする。あちこちに楽しい輪ができて、手造りのおかずやデザートがま
わってくる。1時間ほどのランチタイムを終えて出発。境の集落に入ると見上げ
るような高いところに、貨物線の高い橋脚が残っていた。
古生層石灰岩の大断層
の下に祀られている白髭神社、ユーモラスな弁慶の腕抜き岩、穴のあいた小石が
積み重なっている耳神様、樹齢200年というヤマモミジの巨樹とたどり歩き惣
岳渓谷についた。一度に5人しか渡れないというつり橋で対岸に渡ってみる。ユ
ラユラゆれるつり橋に思わず緊張して足がすくんだ人もいたようだ。つり橋から
下をのぞくと、多摩川が青い奔流となって新緑の谷間を流れ、すばらしい高度感
と不思議な浮揚感につつみこまれた。
縁結びの小さなお地蔵様、馬を休ませ馬方衆は茶屋で一杯という馬の水のみ
場、煎った大豆を供えて祈ると、歯痛が治ったという虫歯地蔵をすぎると、「山
の上の はなれ小むらの 名を聞かむ やがてわが世を ここにへぬべく」と刻
まれた川合玉堂の歌碑がたつ広場についた。玉堂が29歳の時、小河内方面に写
生にきてこの地で詠んだものと、案内板に記されている。「はなれ小むら」とは
見上げるような高みにある中山集落のことなのだろうか。いったん車道にでてか
ら細い山道を登っていく。小河内ダムの堰堤が木々の間から見えてきた。ダム建
設の時の建物跡をすぎ、最後の急坂を登り切ると中山集落についた。歌碑のある
広場がずっと下に見えている。
浅間神社で一休みして細い山道を登ると、土蔵と苔むしたかやぶき屋根をもつ
重厚な奥平家の横にでる。山岳修行の最高位である修験法印を代々引き継ぐとい
う旧家である。下に車道が見えてくるとむかし道の終点で、水根のバス停をすぎ
奥多摩湖にむかう。雨模様だったせいか人影も少ない。予約した臨時バスまで1
時間ほどあるが、営業所に電話を入れると15分ほどでバスを回してくれた。
奥多摩駅ではホリデー特急が入線しておりガラガラに空いていた。シートに座
り、よく冷えた澤乃井のワンカップをあける。スルスルとのどを流れる酒は、ま
さに淡麗水のごとし、である。なんとなく酔いがでたかなと感じるころ、ゴット
ンと電車が動きだした。
| ポイント | 到着時刻 | 出発時刻 | 所要時間 |
| 奥多摩駅 | 10:12 | 10:26 | − |
| 槐木 | 10:50 | 11:00 | 0:24 |
| 不動の上滝 | 11:30 | 12:30 | 0:30 |
| 惣岳渓谷 | 13:05 | 13:25 | 0:35 |
| 玉堂歌碑 | 13:35 | 13:45 | 0:10 |
| 浅間神社 | 14:20 | 14:25 | 0:10 |
| 奥多摩湖 | 15:14 | 15:35 | 0:49 |
| − | − | − | 3:03 |