No269 常念岳から蝶ヶ岳

マップ

8月7日(土) 晴後曇り、午後雷雨
 出掛けに火事騒ぎで驚かされたが、予定より30分ほど早く一ノ沢駐車場に着 いた。ストレッチをしてから藤林サブリーダーを先頭に、いよいよ常念岳に向け て第一歩を踏み出す。晴れてはいるがなんとなく不安定な天候である。20分ほ ど歩くと登山口で、登山相談所に登山届けを提出して登りはじめる。ゆるやかな 樹林帯をいくと、カニコウモリやセンジュガンピが早速出迎えてくれた。
常念乗越手前の一の沢にて
王滝ベンチを過ぎるころからパラパラと雨が降ってきた。雨具をしっかりつけ、すこし 早い昼食をとる。胸突八丁の急坂にかかるところで滑落した登山者が仲間の介抱 をうけていた。鈴木さんが救急薬品を渡し、無事下山することを願って登りつづ ける。最後の水場の手前で岡本さんと斉藤さんの足がけいれんしたので、しばら く休憩をとる。 ここから常念乗越までは苦しい登りの連続である。霧が重く立ち 込め雷鳴も聞こえてきた。4時少し前に常念小屋についた。とたんにはじけるよ うな雨音と雷が鳴り出した。しばらくして霧の中を岡本さん、続いて斉藤さんと 中里リーダーが到着した。濡れたものを乾燥室にいれてまずは一段落。待望の生 ビールが爽やかにノドを流れ落ちた。
 30分もすると土砂降りの雨も嘘のように晴れ上がり東の空に虹がかかった。 横尾谷をはさんですぐ目の前に明神岳から前穂高、奥穂高、北穂高へ続く障壁が 立ちふさがり、大キレットで落ち込んだ山稜はふたたび頭をもちあげ、南岳、大 喰岳から槍ヶ岳へと伸び圧倒的な存在感で迫ってくる。夕食を済ませてから落日を見るた め小屋の前に出る。太陽が北鎌尾根と鷲羽岳の間に沈むと、雲が茜色や黄金色に 輝き始めた。急に寒さを感じ小屋にかけもどった。

  8月8日(日) 晴れときどき曇り

 いよいよ常念岳を越えて蝶ヶ岳までの縦走がはじまる。乗越からすぐ急登とな り、イワオトギリやトウヤクリンドウが重い身体をやさしく励ましてくれる。

尾根に登山道が続く常念岳

朝日を受けながらユックリ、ユックリと高度をあげていく。2800mのピークに つくと、その先が常念岳の山頂である。積み重なった岩の間にイワギキョウが咲 く狭い山頂で、小さな石祠と山名を書いた板が置かれていた。野口五郎岳や大天 井岳、立山から剣岳、遠く鹿島槍ヶ岳も見えている。これからたどる蝶ヶ岳まで の稜線がとても長い。
 常念岳から急傾斜の岩混じりの尾根を慎重に下降していく。ガッカリするくら い下ると、ふたたび樹林帯の登りがはじまる。蝶槍のピークがはるか彼方に見 える。あそこまでいくのかと思うと、なんとなく気が滅入る。
天空に仰ぐヤマトリカブト
2592mのピークでランチタイムをとる。日差しが強くそれぞれ木陰をさがしてもぐりこむ。ク ロマメノキノ実をデザート代わりにつまむ人もいる。 クルマユリやハクサンフウロ、ホソバトリカブトの紫色が鮮やかだ。樹林帯をぬけると蝶槍についた。26 64mの蝶ヶ岳の山頂まではほんのわずかだ。右下には梓川の流れが見えてい る。ゆるやかな起伏をたどり、蝶ヶ岳ヒュッテに到着する。
 すこしガスが濃いが落日を見るために外に出てみる。暗くなるにつれて穂高山 荘や北穂山荘、槍ヶ岳山荘の明かりが光りはじめた。
隣に立った年配の人が、毎年燕岳から常念岳を越え蝶ヶ岳まで独りで縦走をしているのだと話しかけてき た。 歳を聞くと86歳とのこと。去年でもう止めようと思ったけれど、今年もま た来てしまったと笑っていた。
常念岳を愛し登り続ける86才の山男と
(右より4人目)
安曇野に住み、いつもこれらの山々を眺めて暮ら しているそうである。元気のエネルギーを分けてくださいと、有原さんや江口さ んが感激をして握手を求めていた。いろいろな人との出会いを楽しみ、ヒュッテ の夜が深まっていく。 12時半ごろノドが乾いて目をさます。窓から外を見ると 半月があたりを明るく照らしている。外にでると北東の空高くカシオペア座のW 字形が大きく広がっていた。



8月9日(月) 晴れ

振りかえれば槍の穂先が・
 見慣れた山々に別れをつげて下山にかかかる。樹林帯のところどころにイブキ トラノオ、クガイソウ、アキノキリンソウ、ハクサンフウロなどのお花畑があって 目を楽しませてくれた。豆打平で朝食に添えられていたドーナッツを食べながら コーヒータイムをとる。沢音が次第に高くなると三股の吊橋についた。沢沿いに 30分ほど歩いてバスの待つ駐車場についた。四季の郷で温泉に浸かって3日間 のアカを落とした。山から下りて風呂に入り、そして生ビールを飲む至福のひと ときを仲間たちと過ごす。
 最後に、3日間サブリーダーとしてパーテイの先頭を歩いた藤林さん、チーフ リーダーとして全員の安全登山を常に念頭において行動された中里さんに、心から 感謝のエールを送ります。ありがとうございました。
(文:小林利秋、写真:有原栄子、川原克子、草間ケイ子)

  コースタイム      (参加者 25名)
   ポイント     到着時間   出発時間     所要時間
  (8月7日、土)
   一ノ沢駐車場    9:03     9:17   −
   登山口       9:35  10:00  0:18
   王滝ベンチ    11:11   −     1:11
   胸突八丁の手前 11:28  12:00  0:17
   最後の水場   14:27  14:35  2:27
   常念小屋    15:48  15:45  1:13 
                                           (5:26)
 (8月8日、日)
   常念小屋     −     5:45  −
   最初のピーク    6:50   7:00  1:05   
   常念岳        7:30  7:55   0:30
   2542mのピーク  11:14  12:00  3:19
   蝶槍       13:10  −     1:10
   蝶ヶ岳      13:18 13:30  0:08           
   ヒュッテ     14:16  −     0:46 
                      (6:58)
  (8月9日、月) 
   ヒュッテ       −        5:58   −           
   旧べンチ      7:07  7:15   1:09
   蝶沢              7:40   7:55     0:25
   豆打平      8:38   8:50   0:43
   三股橋     10:12  −      1:22
   登山口     10:25 10:30   0:13
   駐車場     10:41  −      0:11
                        (4:03)
                                (総歩程 16:27)