NO.282  荒川北岸史跡めぐり

(歩程約3時間 ランクA)マップ

福寿草
 立春も過ぎた2月の第1日曜日、史跡めぐりの起点である波久礼駅に着いた。 彫刻家北村西望の「波久礼から日暮れて梅の花白し」などの句碑はまだ新しい。 晴天だが風が冷たく、秩父を実感させる。荒川を左に見ながら国道140号線を、 車に気を付けて歩く。
時折右側の線路を電車が通る。川面は穏やかに澄み、日陰 の雪が白い。そこここに梅がほころび始めている。大月八幡神社を皮切りに、高徳寺へ向かう。 国道を外れるとのどかな山里が広 がり、風も気にならない。

矢那瀬の石幢
 高徳寺の本堂は焼失して今はなく、山側裏手から右手の山裾まで深い竹林に 覆われたここに、北村西望が疎開していたそうだ。雲取山への道で見る秩父宮の レリーフなど、この地方に西望の作品が多いのもうなずける。  すぐ近くの小丘には地蔵堂と矢那瀬の石幢がある。塔身に輪廻車という珍しい石車 が付いている。車を回すと極楽往生できるとか、500年以上も前に造られたものら しい。
 この辺りには、まだ養蚕農家もあるのか、きちんと剪定された桑畑があり、その向 こうを石灰石を積んだ長い貨車が通るのが見えた。 山肌は冬色だが、足元の枯芝の中にはイヌノフグリ、ホトケノザ、タンポポ、フクジュソウが咲き、 コブシの花芽は確実にふくらんでいる。

 高さ5.37m、幅1.2mの、現存する板碑の中では日本一という、野上下郷石塔 婆は、1369年に建てられたもので、青石の産地ならではの歴史を刻み、大きな梵字が印 象深い。そこから榎峠方面へのんびり歩くと、小社ながら彫刻が見事な諏訪神社に着い た。
紅梅が咲き、枝垂れの白梅も咲き始めている暖かい日だまりで、ゆっくりお弁当を頂 く。樋口駅近くで国道に出た。北側に寛保洪水位磨崖標があるため、塀の上部に「水」 の文字が見られる。1742年、4昼夜にわたる大豪雨で水位が18mも上昇したらし い。

 長瀞七草寺の萩寺として有名な洞昌院を訪ね、蝋梅が咲く小高い境内で最後の休憩 を取る。ここの枝垂れ梅は蕾も固く、供養するらしい大きなだるまの一つが、片目の ままとはどうしたことか・・・。遠くに、雪を帯びた縞模様の武甲山を見ながら、宝登山 へ行く余力を残して、予定より早く野上駅で解散式となった。鄙びた感じに一同満足したこ とを請け合う、楽しい1日だった。
(文:鈴木繁子 写真:中里宗弘)
野上下郷石塔婆
洞昌院

 2月6日(日) 晴れ 参加者50名 CL鈴木圀臣 SL江口まさ子
 コースタイム
 ポイント             到着時間   出発時間   所要時間
 波久礼駅       8:50  9:05     ー
 大月八幡神社      9:28  9:40    0:23
 高徳寺        9:48  9:50    0:08
 矢那瀬の石幢      9:55  9:58    0:05
 野上下郷石塔婆      ー     ー       ー
 諏訪神社      10:50 11:50    0:48
 洞昌院       12:37 12:55    0:47
 野上駅       13:30  ー       0:35
                         (2:46)