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民法 第三編 債権
- + - 第一章 総則
- + - 第一節 債権の目的
- 第三百九十九条
債権は金銭に見積ることを得さるものと雖も之を以て其目的と為すことを得
- 第四百条
債権の目的か特定物の引渡なるときは債務者は其引渡を為すまて善良なる管理者の注意を以て其物を保存することを要す
- + - 第四百一条
債権の目的物を指示するに種類のみを以てしたる場合に於て法律行為の性質又は当事者の意思に依りて其品質を定むること能はさるときは債務者は中等の品質を有する物を給付することを要す
- 2
前項の場合に於て債務者か物の給付を為すに必要なる行為を完了し又は債権者の同意を得て其給付すべき物を指定したるときは爾後其物を以て債権の目的物とす
- + - 第四百二条
債権の目的物か金銭なるときは債務者は其選択に従ひ各種の通貨を以て弁済を為すことを得但特種の通貨の給付を以て債権の目的と為したるときは此限に在らす
- 2
債権の目的たる特種の通貨か弁済期に於て強制通用の効力を失ひたるときは債務者は他の通貨を以て弁済を為すことを要す
- 3
前二項の規定は外国の通貨の給付を以て債権の目的と為したる場合に之を準用す
- 第四百三条
外国の通貨を以て債権額を指定したるときは債務者は履行地に於ける為替相場に依り日本の通貨を以て弁済を為すことを得
- 第四百四条
利息を生すへき債権に付き別段の意思表示なきときは其利率は年五分とす
- 第四百五条
利息か一年分以上延滞したる場合に於て債権者より催告を為すも債務者か其利息を払はさるときは債権者は之を元本に組入るることを得
- 第四百六条
債権の目的か数個の給付中選択に依りて定まるへきときは其選択権は債務者に属す
- + - 第四百七条
前条の選択権は相手方に対する意思表示に依りて之を行ふ
- 2
前項の意思表示は相手方の承諾あるに非されは之を取消すことを得す
第四百八条
債権か弁済期に在る場合に於て相手方より相当の期間を定めて催告を為すも選択権を有する当事者か其期間内に選択を為ささるときは其選択権は相手方に属す+ - 第四百九条
第三者か選択を為すへき場合に於ては其選択は債権者又は債務者に対する意思表示に依りて之を為す
- 2
第三者か選択を為すこと能はす又は之を欲せさるときは選択権は債務者に属す
+ - 第四百十条
債権の目的たるへき給付中始より不能なるもの又は後に至りて不能と為りたるものあるときは債権は其残存するものに付き存在す
- 2
選択権を有せさる当事者の過失に因りて給付か不能と為りたるときは前項の規定を適用せす
第四百十一条
選択は債権発生の時に遡りて其効力を生す但第三者の権利を害することを得す
+ - 第二節 債権の効力
- + - 第四百十二条
債務の履行に付き確定期限あるときは債務者は其期限の到来したる時より遅滞の責に任す
- 2
債務の履行に付き不確定期限あるときは債務者は其期限の到来したることを知りたる時より遅滞の責に任す
- 3
債務の履行に付き期限を定めさりしときは債務者は履行の請求を受けたる時より遅滞の責に任す
第四百十三条
債権者か債務の履行を受くることを拒み又は之を受くること能はさるときは其債権者は履行の提供ありたる時より遅滞の責に任す+ - 第四百十四条
債務者か任意に債務の履行を為ささるときは債権者は其強制履行を裁判所に請求することを得但債務の性質か之を許ささるときは此限に在らす
- 2
債務の性質か強制履行を許ささる場合に於て其債務か作為を目的とするときは債権者は債務者の費用を以て第三者に之を為さしむることを裁判所に請求することを得但法律行為を目的とする債務に付ては裁判を以て債務者の意思表示に代ふることを得
- 3
不作為を目的とする債務に付ては債務者の費用を以て其為したるものを除却し且将来の為め適当の処分を為すことを請求することを得
- 4
前三項の規定は損害賠償の請求を妨けす
第四百十五条
債務者か其債務の本旨に従ひたる履行を為ささるときは債権者は其損害の賠償を請求することを得債務者の責に帰すへき事由に因りて履行を為すこと能はさるに至りたるとき亦同し+ - 第四百十六条
損害賠償の請求は債務の不履行に因りて通常生すへき損害の賠償を為さしむるを以て其目的とす
- 2
特別の事情に因りて生したる損害と雖も当事者か其事情を予見し又は予見することを得へかりしときは債権者は其賠償を請求することを得
第四百十七条
損害賠償は別段の意思表示なきときは金銭を以て其額を定む 第四百十八条
債務の不履行に関し債権者に過失ありたるときは裁判所は損害賠償の責任及ひ其金額を定むるに付き之を斟酌す+ - 第四百十九条
金銭を目的とする債務の不履行に付ては其損害賠償の額は法定利率に依りて之を定む但約定利率か法定利率に超ゆるときは約定利率に依る
- 2
前項の損害賠償に付ては債権者は損害の証明を為すことを要せす又債務者は不可抗力を以て抗弁と為すことを得す
+ - 第四百二十条
当事者は債務の不履行に付き損害賠償の額を予定することを得此場合に於ては裁判所は其額を増減することを得す
- 2
賠償額の予定は履行又は解除の請求を妨けす
- 3
違約金は之を賠償額の予定と推定す
第四百二十一条
前条の規定は当事者か金銭に非さるものを以て損害の賠償に充つへき旨を予定したる場合に之を準用す 第四百二十二条
債権者か損害賠償として其債権の目的たる物又は権利の価額の全部を受けたるときは債務者は其物又は権利に付き当然債権者に代位す+ - 第四百二十三条
債権者は自己の債権を保全する為め其債務者に属する権利を行ふことを得但債務者の一身に専属する権利は此限に在らす
- 2
債権者は其債権の期限か到来せさる間は裁判上の代位に依るに非されは前項の権利を行ふことを得す但保存行為は此限に在らす
+ - 第四百二十四条
債権者は債務者か其債権者を害することを知りて為したる法律行為の取消を裁判所に請求することを得但其法律行為に因りて利益を受けたる者又は転得者か其行為又は転得の当時債権者を害すへき事実を知らさりしときは此限に在らす
- 2
前項の規定は財産権を目的とせさる法律行為には之を適用せす
第四百二十五条
前条の規定に依りて為したる取消は総債権者の利益の為めに其効力を生す 第四百二十六条
第四百二十四条の取消権は債権者か取消の原因を覚知したる時より二年間之を行はさるときは時効に因りて消滅す行為の時より二十年を経過したるとき亦同し
+ - 第三節 多数当事者の債権
- + - 第一款 総則
- 第四百二十七条
数人の債権者又は債務者ある場合に於て別段の意思表示なきときは各債権者又は各債務者は平等の割合を以て権利を有し又は義務を負ふ
+ - 第二款 不可分債権
- 第四百二十八条
債権の目的か其性質上又は当事者の意思表示に因りて不可分なる場合に於て数人の債権者あるときは各債権者は総債権者の為めに履行を請求し又債務者は総債権者の為め各債権者に対して履行を為すことを得
- + - 第四百二十九条
不可分債権者の一人と其債務者との間に更改又は免除ありたる場合に於ても他の債権者は債務の全部の履行を請求することを得但其一人の債権者か其権利を失はされは之に分与すへき利益を債務者に償還することを要す
- 2
此他不可分債権者の一人の行為又は其一人に付き生したる事項は他の債権者に対して其効力を生せす
第四百三十条
数人か不可分債務を負担する場合に於ては前条の規定及ひ連帯債務に関する規定を準用す但第四百三十四条乃至第四百四十条の規定は此限に在らす 第四百三十一条
不可分債務か可分債務に変したるときは各債権者は自己の部分に付てのみ履行を請求することを得又各債務者は其負担部分に付てのみ履行の責に任す
+ - 第三款 連帯債務
- 第四百三十二条
数人か連帯債務を負担するときは債権者は其債務者の一人に対し又は同時若くは順次に総債務者に対して全部又は一部の履行を請求することを得
- 第四百三十三条
連帯債務者の一人に付き法律行為の無効又は取消の原因の存する為め他の債務者の債務の効力を妨くることなし
- 第四百三十四条
連帯債務者の一人に対する履行の請求は他の債務者に対しても其効力を生す
- 第四百三十五条
連帯債務者の一人と債権者との間に更改ありたるときは債権は総債務者の利益の為めに消滅す
- + - 第四百三十六条
連帯債務者の一人か債権者に対して債権を有する場合に於て其債務者か相殺を援用したるときは債権は総債務者の利益の為めに消滅す
- 2
右の債権を有する債務者か相殺を援用せさる間は其債務者の負担部分に付てのみ他の債務者に於て相殺を援用することを得
第四百三十七条
連帯債務者の一人に対して為したる債務の免除は其債務者の負担部分に付てのみ他の債務者の利益の為めにも其効力を生す 第四百三十八条
連帯債務者の一人と債権者との間に混同ありたるときは其債務者は弁済を為したるものと看做す 第四百三十九条
連帯債務者の一人の為めに時効か完成したるときは其債務者の負担部分に付ては他の債務者も亦其義務を免る 第四百四十条
前六条に掲けたる事項を除く外連帯債務者の一人に付き生したる事項は他の債務者に対して其効力を生せす 第四百四十一条
連帯債務者の全員又は其中の数人か破産の宣告を受けたるときは債権者は其債権の全額に付き各財団の配当に加入することを得+ - 第四百四十二条
連帯債務者の一人か債務を弁済し其他自己の出捐を以て共同の免責を得たるときは他の債務者に対し其各自の負担部分に付き求償権を有す
- 2
前項の求償は弁済其他免責ありたる日以後の法定利息及ひ避くることを得さりし費用其他の損害の賠償を包含す
+ - 第四百四十三条
連帯債務者の一人か債権者より請求を受けたることを他の債務者に通知せすして弁済を為し其他自己の出捐を以て共同の免責を得たる場合に於て他の債務者か債権者に対抗することを得へき事由を有せしときは其負担部分に付き之を以て其債務者に対抗することを得但相殺を以て之に対抗したるときは過失ある債務者は債権者に対し相殺に因りて消滅すへかりし債務の履行を請求することを得
- 2
連帯債務者の一人か弁済其他自己の出捐を以て共同の免責を得たることを他の債務者に通知することを怠りたるに因り他の債務者か善意にて債権者に弁済を為し其他有償に免責を得たるときは其債務者は自己の弁済其他免責の行為を有効なりしものと看做すことを得
第四百四十四条
連帯債務者中に償還を為す資力なき者あるときは其償還すること能はさる部分は求償者及ひ他の資力ある者の間に其各自の負担部分に応して之を分割す但求償者に過失あるときは他の債務者に対して分担を請求することを得す 第四百四十五条
連帯債務者の一人か連帯の免除を得たる場合に於て他の債務者中に弁済の資力なき者あるときは債権者は其無資力者か弁済すること能はさる部分に付き連帯の免除を得たる者か負担すへき部分を負担す
+ - 第四款 保証債務
- 第四百四十六条
保証人は主たる債務者か其債務を履行せさる場合に於て其履行を為す責に任す
- + - 第四百四十七条
保証債務は主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償其他総て其債務に従たるものを包含す
- 2
保証人は其保証債務に付てのみ違約金又は損害賠償の額を約定することを得
第四百四十八条
保証人の負担か債務の目的又は体様に付き主たる債務より重きときは之を主たる債務の限度に減縮す 第四百四十九条
能力の制限に因りて取消すことを得へき債務を保証したる者か保証契約の当時其取消の原因を知りたるときは主たる債務者の不履行又は其債務の取消の場合に付き同一の目的を有する独立の債務を負担したるものと推定す+ - 第四百五十条
債務者か保証人を立つる義務を負ふ場合に於ては其保証人は左の条件を具備する者たることを要す
2
保証人か前項第二号の条件を欠くに至りたるときは債権者は前項の条件を具備する者を以て之に代ふることを請求することを得 3
前二項の規定は債権者か保証人を指名したる場合には之を適用せす
第四百五十一条
債務者か前条の条件を具備する保証人を立つること能はさるときは他の担保を供して之に代ふることを得 第四百五十二条
債権者か保証人に債務の履行を請求したるときは保証人は先つ主たる債務者に催告を為すへき旨を請求することを得但主たる債務者か破産の宣告を受け又は其行方か知れさるときは此限に在らす 第四百五十三条
債権者か前条の規定に従ひ主たる債務者に催告を為したる後と雖も保証人か主たる債務者に弁済の資力ありて且執行の容易なることを証明したるときは債権者は先つ主たる債務者の財産に付き執行を為すことを要す 第四百五十四条
保証人か主たる債務者と連帯して債務を負担したるときは前二条に定めたる権利を有せす 第四百五十五条
第四百五十二条及ひ第四百五十三条の規定に依り保証人の請求ありたるに拘はらす債権者か催告又は執行を為すことを怠り其後主たる債務者より全部の弁済を得さるときは保証人は債権者か直ちに催告又は執行を為せは弁済を得へかりし限度に於て其義務を免る 第四百五十六条
数人の保証人ある場合に於ては其保証人か各別の行為を以て債務を負担したるときと雖も第四百二十七条の規定を適用す+ - 第四百五十七条
主たる債務者に対する履行の請求其他時効の中断は保証人に対しても其効力を生す
- 2
保証人は主たる債務者の債権に依り相殺を以て債権者に対抗することを得
第四百五十八条
主たる債務者か保証人と連帯して債務を負担する場合に於ては第四百三十四条乃至第四百四十条の規定を適用す+ - 第四百五十九条
保証人か主たる債務者の委託を受けて保証を為したる場合に於て過失なくして債権者に弁済すへき裁判言渡を受け又は主たる債務者に代はりて弁済を為し其他自己の出捐を以て債務を消滅せしむへき行為を為したるときは其保証人は主たる債務者に対して求償権を有す
- 2
第四百四十二条第二項の規定は前項の場合に之を準用す
+ - 第四百六十条
保証人か主たる債務者の委託を受けて保証を為したるときは其保証人は左の場合に於て主たる債務者に対して予め求償権を行ふことを得
- 一
主たる債務者か破産の宣告を受け且債権者か其財団の配当に加入せさるとき
- 二
債務か弁済期に在るとき但保証契約の後債権者か主たる債務者に許与したる期限は之を以て保証人に対抗することを得す
- 三
債務の弁済期か不確定にして且其最長期をも確定すること能はさる場合に於て保証契約の後十年を経過したるとき
+ - 第四百六十一条
前二条の規定に依り主たる債務者か保証人に対して賠償を為す場合に於て債権者か全部の弁済を受けさる間は主たる債務者は保証人をして担保を供せしめ又は之に対して自己に免責を得せしむへき旨を請求することを得
- 2
右の場合に於て主たる債務者は供託を為し、担保を供し又は保証人に免責を得せしめて其賠償の義務を免るることを得
+ - 第四百六十二条
主たる債務者の委託を受けすして保証を為したる者か債務を弁済し其他自己の出捐を以て主たる債務者に其債務を免れしめたるときは主たる債務者は其当時利益を受けたる限度に於て賠償を為すことを要す
- 2
主たる債務者の意思に反して保証を為したる者は主たる債務者か現に利益を受くる限度に於てのみ求償権を有す但主たる債務者か求償の日以前に相殺の原因を有せしことを主張するときは保証人は債権者に対し其相殺に因りて消滅すへかりし債務の履行を請求することを得
+ - 第四百六十三条
第四百四十三条の規定は保証人に之を準用す
- 2
保証人か主たる債務者の委託を受けて保証を為したる場合に於て善意にて弁済其他免責の為めにする出捐を為したるときは第四百四十三条の規定は主たる債務者にも亦之を準用す
第四百六十四条
連帯債務者又は不可分債務者の一人の為めに保証を為したる者は他の債務者に対して其負担部分のみに付き求償権を有す+ - 第四百六十五条
数人の保証人ある場合に於て主たる債務か不可分なる為め又は各保証人か全額を弁済すへき特約ある為め一人の保証人か全額其他自己の負担部分を超ゆる額を弁済したるときは第四百四十二条乃至第四百四十四条の規定を準用す
- 2
前項の場合に非すして互に連帯せさる保証人の一人か全額其他自己の負担部分を超ゆる額を弁済したるときは第四百六十二条の規定を準用す
+ - 第四節 債権の譲渡
- + - 第四百六十六条
債権は之を譲渡すことを得但其性質か之を許ささるときは此限に在らす
- 2
前項の規定は当事者か反対の意思を表示したる場合には之を適用せす但其意思表示は之を以て善意の第三者に対抗することを得す
+ - 第四百六十七条
指名債権の譲渡は譲渡人か之を債務者に通知し又は債務者か之を承諾するに非されは之を以て債務者其他の第三者に対抗することを得す
- 2
前項の通知又は承諾は確定日附ある証書を以てするに非されは之を以て債務者以外の第三者に対抗することを得す
+ - 第四百六十八条
債務者か異議を留めすして前条の承諾を為したるときは譲渡人に対抗することを得へかりし事由あるも之を以て譲受人に対抗することを得す但債務者か其債務を消滅せしむる為め譲渡人に払渡したるものあるときは之を取返し又譲渡人に対して負担したる債務あるときは之を成立せさるものと看做すことを妨けす
- 2
譲渡人か譲渡の通知を為したるに止まるときは債務者は其通知を受くるまてに譲渡人に対して生したる事由を以て譲受人に対抗することを得
第四百六十九条
指図債権の譲渡は其証書に譲渡の裏書を為して之を譲受人に交付するに非されは之を以て債務者其他の第三者に対抗することを得す 第四百七十条
指図債権の債務者は其証書の所持人及ひ其署名、捺印の真偽を調査する権利を有するも其義務を負ふことなし但債務者に悪意又は重大なる過失あるときは其弁済は無効とす 第四百七十一条
前条の規定は証書に債権者を指名したるも其証書の所持人に弁済すへき旨を附記したる場合に之を準用す 第四百七十二条
指図債権の債務者は其証書に記載したる事項及ひ其証書の性質より当然生する結果を除く外原債権者に対抗することを得へかりし事由を以て善意の譲受人に対抗することを得す 第四百七十三条
前条の規定は無記名債権に之を準用す
+ - 第五節 債権の消滅
- + - 第一款 弁済
- + - 第四百七十四条
債務の弁済は第三者之を為すことを得但其債務の性質か之を許ささるとき又は当事者か反対の意思を表示したるときは此限に在らす
- 2
利害の関係を有せさる第三者は債務者の意思に反して弁済を為すことを得す
- 第四百七十五条
弁済者か他人の物を引渡したるときは更に有効なる弁済を為すに非されは其物を取戻すことを得す
- 第四百七十六条
譲渡の能力なき所有者か弁済として物の引渡を為したる場合に於て其弁済を取消したるときは其所有者は更に有効なる弁済を為すに非されは其物を取戻すことを得す
- 第四百七十七条
前二条の場合に於て債権者か弁済として受けたる物を善意にて消費し又は譲渡したるときは其弁済は有効とす但債権者か第三者より賠償の請求を受けたるときは弁済者に対して求償を為すことを妨けす
- 第四百七十八条
債権の準占有者に為したる弁済は弁済者の善意なりしときに限り其効力を有す
- 第四百七十九条
前条の場合を除く外弁済受領の権限を有せさる者に為したる弁済は債権者か之に因りて利益を受けたる限度に於てのみ其効力を有す
- 第四百八十条
受取証書の持参人は弁済受領の権限あるものと看做す但弁済者か其権限なきことを知りたるとき又は過失に因りて之を知らさりしときは此限に在らす
- + - 第四百八十一条
支払の差止を受けたる第三債務者か自己の債権者に弁済を為したるときは差押債権者は其受けたる損害の限度に於て更に弁済を為すへき旨を第三債権者に請求することを得
- 2
前項の規定は第三債権者より其債権者に対する求償権の行使を妨けす
第四百八十二条
債務者か債権者の承諾を以て其負担したる給付に代へて他の給付を為したるときは其給付は弁済と同一の効力を有す 第四百八十三条
債権の目的か特定物の引渡なるときは弁済者は其引渡を為すへき時の現状にて其物を引渡すことを要す 第四百八十四条
弁済を為すへき場所に付き別段の意思表示なきときは特定物の引渡は債権発生の当時其物の存在せし場所に於て之を為し其他の弁済は債権者の現時の住所に於て之を為すことを要す 第四百八十五条
弁済の費用に付き別段の意思表示なきときは其費用は債務者之を負担す但債権者か住所の移転其他の行為に因りて弁済の費用を増加したるときは其増加額は債権者之を負担す 第四百八十六条
弁済者は弁済受領者に対して受取証書の交付を請求することを得 第四百八十七条
債権の証書ある場合に於て弁済者か全部の弁済を為したるときは其証書の返還を請求することを得+ - 第四百八十八条
債務者か同一の債権者に対して同種の目的を有する数個の債務を負担する場合に於て弁済として提供したる給付か総債務を消滅せしむるに足らさるときは弁済者は給付の時に於て其弁済を充当すへき債務を指定することを得
- 2
弁済者か前項の指定を為ささるときは弁済受領者は其受領の時に於て其弁済の充当を為すことを得但弁済者か其充当に対して直ちに異議を述へたるときは此限に在らす
- 3
前二項の場合に於て弁済の充当は相手方に対する意思表示に依りて之を為す
+ - 第四百八十九条
当事者か弁済の充当を為ささるときは左の規定に従ひ其弁済を充当す
- 一
総債務中弁済期に在るものと弁済期に在らさるものとあるときは弁済期に在るものを先にす
- 二
総債務か弁済期に在るとき又は弁済期に在らさるときは債務者の為めに弁済の利益多きものを先にす
- 三
債務者の為めに弁済の利益相同しきときは弁済期の先つ至りたるもの又は先つ至るへきものを先にす
- 四
前二号に掲けたる事項に付き相同しき債務の弁済は各債務の額に応して之を充当す
第四百九十条
一個の債務の弁済として数個の給付を為すへき場合に於て弁済者か其債務の全部を消滅せしむるに足らさる給付を為したるときは前二条の規定を準用す+ - 第四百九十一条
債務者か一個又は数個の債務に付き元本の外利息及ひ費用を払ふへき場合に於て弁済者か其債務の全部を消滅せしむるに足らさる給付を為したるときは之を以て順次に費用、利息及ひ元本に充当することを要す
第四百九十二条
弁済の提供は其提供の時より不履行に因りて生すへき一切の責任を免れしむ 第四百九十三条
弁済の提供は債務の本旨に従ひて現実に之を為すことを要す但債権者か予め其受領を拒み又は債務の履行に付き債権者の行為を要するときは弁済の準備を為したることを通知して其受領を催告するを以て足る 第四百九十四条
債権者か弁済の受領を拒み又は之を受領すること能はさるときは弁済者は債権者の為めに弁済の目的物を供託して其債務を免るることを得弁済者の過失なくして債権者を確知すること能はさるとき亦同し+ - 第四百九十五条
供託は債務履行地の供託所に之を為すことを要す
- 2
供託所に付き別段の定なき場合に於ては裁判所は弁済者の請求に因り供託所の指定及ひ供託物保管者の選任を為すことを要す
- 3
供託者は遅滞なく債権者に供託の通知を為すことを要す
+ - 第四百九十六条
債権者か供託を受諾せす又は供託を有効と宣告したる判決か確定せさる間は弁済者は供託物を取戻すことを得此場合に於ては供託を為ささりしものと看做す
- 2
前項の規定は供託に因りて質権又は抵当権か消滅したる場合には之を適用せす
第四百九十七条
弁済の目的物か供託に適せす又は其物に付き滅失若くは毀損の虞あるときは弁済者は裁判所の許可を得て之を競売し其代価を供託することを得其物の保存に付き過分の費用を要するとき亦同し 第四百九十八条
債務者か債権者の給付に対して弁済を為すへき場合に於ては債権者は其給付を為すに非されは供託物を受取ることを得す+ - 第四百九十九条
債務者の為めに弁済を為したる者は其弁済と同時に債権者の承諾を得て之に代位することを得
第五百条
弁済を為すに付き正当の利益を有する者は弁済に因りて当然債権者に代位す+ - 第五百一条
前二条の規定に依りて債権者に代位したる者は自己の権利に基き求償を為すことを得へき範囲内に於て債権の効力及ひ担保として其債権者か有せし一切の権利を行ふことを得但左の規定に従ふことを要す
- 一
保証人は予め先取特権、不動産質権又は抵当権の登記に其代位を附記したるに非されは其先取特権、不動産質権又は抵当権の目的たる不動産の第三取得者に対して債権者に代位せす
- 二
第三取得者は保証人に対して債権者に代位せす
- 三
第三取得者の一人は各不動産の価格に応するに非されは他の第三取得者に対して債権者に代位せす
- 四
前号の規定は自己の財産を以て他人の債務の担保に供したる者の間に之を準用す
- 五
保証人と自己の財産を以て他人の債務の担保に供したる者との間に於ては其頭数に応するに非されは債権者に代位せす但自己の財産を以て他人の債務の担保に供したる者数人あるときは保証人の負担部分を除き其残額に付き各財産の価格に応するに非されは之に対して代位を為すことを得す右の場合に於て其財産か不動産なるときは第一号の規定を準用す
+ - 第五百二条
債権の一部に付き代位弁済ありたるときは代位者は其弁済したる価額に応して債権者と共に其権利を行ふ
- 2
前項の場合に於て債務の不履行に因る契約の解除は債権者のみ之を請求することを得但代位者に其弁済したる価額及ひ其利息を償還することを要す
+ - 第五百三条
代位弁済に因りて全部の弁済を受けたる債権者は債権に関する証書及ひ其占有に在る担保物を代位者に交付することを要す
- 2
債権の一部に付き代位弁済ありたる場合に於ては債権者は債権証書に其代位を記入し且代位者をして其占有に在る担保物の保存を監督せしむることを要す
第五百四条
第五百条の規定に依りて代位を為すへき者ある場合に於て債権者か故意又は懈怠に因りて其担保を喪失又は減少したるときは代位を為すへき者は其喪失又は減少に因り償還を受くること能はさるに至りたる限度に於て其責を免る
+ - 第二款 相殺
- + - 第五百五条
二人互に同種の目的を有する債務を負担する場合に於て双方の債務か弁済期に在るときは各債務者は其対当額に付き相殺に因りて其債務を免るることを得但債務の性質か之を許ささるときは此限に在らす
- 2
前項の規定は当事者か反対の意思を表示したる場合には之を適用せす但其意思表示は之を以て善意の第三者に対抗することを得す
+ - 第五百六条
相殺は当事者の一方より其相手方に対する意思表示に依りて之を為す但其意思表示には条件又は期限を附することを得す
- 2
前項の意思表示は双方の債務か互に相殺を為すに適したる始に遡りて其効力を生す
第五百七条
相殺は双方の債務の履行地か異なるときと雖も之を為すことを得但相殺を為す当事者は其相手方に対し之に因りて生したる損害を賠償することを要す 第五百八条
時効に因りて消滅したる債権か其消滅以前に相殺に適したる場合に於ては其債権者は相殺を為すことを得 第五百九条
債務か不法行為に因りて生したるときは其債務者は相殺を以て債権者に対抗することを得す 第五百十条
債権か差押を禁したるものなるときは其債務者は相殺を以て債権者に対抗することを得す 第五百十一条
支払の差止を受けたる第三債務者は其後に取得したる債権に依り相殺を以て差押債権者に対抗することを得す 第五百十二条
第四百八十八条乃至第四百九十一条の規定は相殺に之を準用す
+ - 第三款 更改
- + - 第五百十三条
当事者か債務の要素を変更する契約を為したるときは其債務は更改に因りて消滅す
- 2
条件附債務を無条件債務とし、無条件債務に条件を附し又は条件を変更するは債務の要素を変更するものと看做す債務の履行に代へて為替手形を発行する亦同し
第五百十四条
債務者の交替に因る更改は債権者と新債務者との契約を以て之を為すことを得但旧債務者の意思に反して之を為すことを得す 第五百十五条
債権者の交替に因る更改は確定日附ある証書を以てするに非されは之を以て第三者に対抗することを得す 第五百十六条
第四百六十八条第一項の規定は債権者の交替に因る更改に之を準用す 第五百十七条
更改に因りて生したる債務か不法の原因の為め又は当事者の知らさる事由に因りて成立せす又は取消されたるときは旧債務は消滅せす 第五百十八条
更改の当事者は旧債務の目的の限度に於て其債務の担保に供したる質権又は抵当権を新債務に移すことを得但第三者か之を供したる場合に於ては其承諾を得ることを要す
+ - 第四款 免除
- 第五百十九条
債権者か債務者に対して債務を免除する意思を表示したるときは其債権は消滅す
+ - 第五款 混同
- 第五百二十条
債権及ひ債務か同一人に帰したるときは其債権は消滅す但其債権か第三者の権利の目的たるときは此限に在らす
+ - 第二章 契約
- + - 第一節 総則
- + - 第一款 契約の成立
- + - 第五百二十一条
承諾の期間を定めて為したる契約の申込は之を取消すことを得す
- 2
申込者か前項の期間内に承諾の通知を受けさるときは申込は其効力を失ふ
- + - 第五百二十二条
承諾の通知か前条の期間後に到達したるも通常の場合に於ては其期間内に到達すへかりし時に発送したるものなることを知り得へきときは申込者は遅滞なく相手方に対して其延著の通知を発することを要す但其到達前に遅延の通知を発したるときは此限に在らす
- 2
申込者か前項の通知を怠りたるときは承諾の通知は延著せさりしものと看做す
- 第五百二十三条
遅延したる承諾は申込者に於て之を新なる申込と看做すことを得
- 第五百二十四条
承諾の期間を定めすして隔地者に為したる申込は申込者か承諾の通知を受くるに相当なる期間之を取消すことを得す
- 第五百二十五条
第九十七条第二項の規定は申込者か反対の意思を表示し又は其相手方か死亡若くは能力喪失の事実を知りたる場合には之を適用せす
- + - 第五百二十六条
隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立す
- 2
申込者の意思表示又は取引上の慣習に依り承諾の通知を必要とせさる場合に於ては契約は承諾の意思表示と認むへき事実ありたる時に成立す
+ - 第五百二十七条
申込の取消の通知か承諾の通知を発したる後に到達したるも通常の場合に於ては其前に到達すへかりし時に発送したるものなることを知り得へきときは承諾者は遅滞なく申込者に対して其延著の通知を発することを要す
- 2
承諾者か前項の通知を怠りたるときは契約は成立せさりしものと看做す
第五百二十八条
承諾者か申込に条件を附し其他変更を加へて之を承諾したるときは其申込の拒絶と共に新なる申込を為したるものと看做す 第五百二十九条
或行為を為したる者に一定の報酬を与ふへき旨を広告したる者は其行為を為したる者に対して其報酬を与ふる義務を負ふ+ - 第五百三十条
前条の場合に於て広告者は其指定したる行為を完了する者なき間は前の広告と同一の方法に依りて其広告を取消すことを得但其広告中に取消を為ささる旨を表示したるときは此限に在らす
- 2
前項に定めたる方法に依りて取消を為すこと能はさる場合に於ては他の方法に依りて之を為すことを得但其取消は之を知りたる者に対してのみ其効力を有す
広告者か其指定したる行為を為すへき期間を定めたるときは其取消権を抛棄したるものと推定す
+ - 第五百三十一条
広告に定めたる行為を為したる者数人あるときは最初に其行為を為したる者のみ報酬を受くる権利を有す
- 2
数人か同時に右の行為を為したる場合に於ては各平等の割合を以て報酬を受くる権利を有す但報酬か其性質上分割に不便なるとき又は広告に於て一人のみ之を受くへきものとしたるときは抽籤を以て之を受くへき者を定む
- 3
前二項の規定は広告中に之に異なりたる意思を表示したるときは之を適用せす
+ - 第五百三十二条
広告に定めたる行為を為したる者数人ある場合に於て其優等者のみに報酬を与ふへきときは其広告は応募の期間を定めたるときに限り其効力を有す
- 2
前項の場合に於て応募者中何人の行為か優等なるかは広告中に定めたる者之を判定す若し広告中に判定者を定めさりしときは広告者之を判定す
- 3
応募者は前項の判定に対して異議を述ぶることを得す
- 4
数人の行為か同等と判定せられたるときは前条第二項の規定を準用す
+ - 第二款 契約の効力
- 第五百三十三条
双務契約当事者の一方は相手方か其債務の履行を提供するまては自己の債務の履行を拒むことを得但相手方の債務か弁済期に在らさるときは此限に在らす
- + - 第五百三十四条
特定物に関する物権の設定又は移転を以て双務契約の目的と為したる場合に於て其物か債務者の責に帰すへからさる事由に因りて滅失又は毀損したるときは其滅失又は毀損は債権者の負担に帰す
- 2
不特定物に関する契約に付ては第四百一条第二項の規定に依りて其物か確定したる時より前項の規定を適用す
+ - 第五百三十五条
前条の規定は停止条件附双務契約の目的物か条件の成否未定の間に於て滅失したる場合には之を適用せす
- 2
物か債務者の責に帰すへからさる事由に因りて毀損したるときは其毀損は債権者の負担に帰す
- 3
物か債務者の責に帰すへき事由に因りて毀損したるときは債権者は条件成就の場合に於て其選択に従ひ契約の履行又は其解除を請求することを得但損害賠償の請求を妨けす
+ - 第五百三十六条
前二条に掲けたる場合を除く外当事者双方の責に帰すへからさる事由に因りて債務を履行すること能はさるに至りたるときは債務者は反対給付を受くる権利を有せす
- 2
債権者の責に帰すへき事由に因りて履行を為すこと能はさるに至りたるときは債務者は反対給付を受くる権利を失はす但自己の債務を免れたるに因りて利益を得たるときは之を債権者に償還することを要す
+ - 第五百三十七条
契約に依り当事者の一方か第三者に対して或給付を為すへきことを約したるときは其第三者は債務者に対して直接に其給付を請求する権利を有す
- 2
前項の場合に於て第三者の権利は其第三者か債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示したる時に発生す
第五百三十八条
前条の規定に依りて第三者の権利か発生したる後は当事者は之を変更し又は之を消滅せしむることを得す 第五百三十九条
第五百三十七条に掲けたる契約に基因する抗弁は債務者之を以て其契約の利益を受くへき第三者に対抗することを得
+ - 第三款 契約の解除
- + - 第五百四十条
契約又は法律の規定に依り当事者の一方か解除権を有するときは其解除は相手方に対する意思表示に依りて之を為す
第五百四十一条
当事者の一方か其債務を履行せさるときは相手方は相当の期間を定めて其履行を催告し若し其期間内に履行なきときは契約の解除を為すことを得 第五百四十二条
契約の性質又は当事者の意思表示に依り一定の日時又は一定の期間内に履行を為すに非されは契約を為したる目的を達すること能はさる場合に於て当事者の一方か履行を為さすして其時期を経過したるときは相手方は前条の催告を為さすして直ちに其契約の解除を為すことを得 第五百四十三条
履行の全部又は一部か債務者の責に帰すへき事由に因りて不能と為りたるときは債権者は契約の解除を為すことを得+ - 第五百四十四条
当事者の一方か数人ある場合に於ては契約の解除は其全員より又は其全員に対してのみ之を為すことを得
- 2
前項の場合に於て解除権か当事者中の一人に付き消滅したるときは他の者に付ても亦消滅す
+ - 第五百四十五条
当事者の一方か其解除権を行使したるときは各当事者は其相手方を原状に復せしむる義務を負ふ但第三者の権利を害することを得す
- 2
前項の場合に於て返還すへき金銭には其受領の時より利息を附することを要す
- 3
解除権の行使は損害賠償の請求を妨けす
第五百四十六条
第五百三十三条の規定は前条の場合に之を準用す 第五百四十七条
解除権の行使に付き期間の定なきときは相手方は解除権を有する者に対し相当の期間を定め其期間内に解除を為すや否やを確答すへき旨を催告することを得若し其期間内に解除の通知を受けさるときは解除権は消滅す+ - 第五百四十八条
解除権を有する者か自己の行為又は過失に因りて著しく契約の目的物を毀損し若くは之を返還すること能はさるに至りたるとき又は加工若くは改造に因りて之を他の種類の物に変したるときは解除権は消滅す
- 2
契約の目的物か解除権を有する者の行為又は過失に因らすして滅失又は毀損したるときは解除権は消滅せす
+ - 第二節 贈与
- 第五百四十九条
贈与は当事者の一方か自己の財産を無償にて相手方に与ふる意思を表示し相手方か受諾を為すに因りて其効力を生す
- 第五百五十条
書面に依らさる贈与は各当事者之を取消すことを得但履行の終はりたる部分に付ては此限に在らす
- + - 第五百五十一条
贈与者は贈与の目的たる物又は権利の瑕疵又は欠缺に付き其責に任せす但贈与者か其瑕疵又は欠缺を知りて之を受贈者に告けさりしときは此限に在らす
- 2
負担附贈与に付ては贈与者は其負担の限度に於て売主と同しく担保の責に任す
第五百五十二条
定期の給付を目的とする贈与は贈与者又は受贈者の死亡に因りて其効力を失ふ 第五百五十三条
負担附贈与に付ては本節の規定の外双務契約に関する規定を適用す 第五百五十四条
贈与者の死亡に因りて効力を生すへき贈与は遺贈に関する規定に従ふ
+ - 第三節 売買
- + - 第一款 総則
- 第五百五十五条
売買は当事者の一方か或財産権を相手方に移転することを約し相手方か之に其代金を払ふことを約するに因りて其効力を生す
- + - 第五百五十六条
売買の一方の予約は相手方か売買を完結する意思を表示したる時より売買の効力を生す
- 2
前項の意思表示に付き期間を定めさりしときは予約者は相当の期間を定め其期間内に売買を完結するや否やを確答すへき旨を相手方に催告することを得若し相手方か其期間内に確答を為ささるときは予約は其効力を失ふ
- + - 第五百五十七条
買主か売主に手附を交付したるときは当事者の一方か契約の履行に著手するまては買主は其手附を抛棄し売主は其倍額を償還して契約の解除を為すことを得
- 2
第五百四十五条第三項の規定は前項の場合には之を適用せす
第五百五十八条
売買契約に関する費用は当事者双方平分して之を負担す 第五百五十九条
本節の規定は売買以外の有償契約に之を準用す但其契約の性質か之を許ささるときは此限に在らす
+ - 第二款 売買の効力
- 第五百六十条
他人の権利を以て売買の目的と為したるときは売主は其権利を取得して之を買主に移転する義務を負ふ
- 第五百六十一条
前条の場合に於て売主か其売却したる権利を取得して之を買主に移転すること能はさるときは買主は契約の解除を為すことを得但契約の当時其権利の売主に属せさることを知りたるときは損害賠償の請求を為すことを得す
- + - 第五百六十二条
売主か契約の当時其売却したる権利の自己に属せさることを知らさりし場合に於て其権利を取得して之を買主に移転すること能はさるときは売主は損害を賠償して契約の解除を為すことを得
- 2
前項の場合に於て買主か契約の当時其買受けたる権利の売主に属せさることを知りたるときは売主は買主に対し単に其売却したる権利を移転すること能はさる旨を通知して契約の解除を為すことを得
+ - 第五百六十三条
売買の目的たる権利の一部か他人に属するに因り売主か之を買主に移転すること能はさるときは買主は其足らさる部分の割合に応して代金の減額を請求することを得
- 2
前項の場合に於て残存する部分のみなれは買主か之を買受けさるへかりしときは善意の買主は契約の解除を為すことを得
- 3
代金減額の請求又は契約の解除は善意の買主か損害賠償の請求を為すことを妨けす
第五百六十四条
前条に定めたる権利は買主か善意なりしときは事実を知りたる時より悪意なりしときは契約の時より一年内に之を行使することを要す 第五百六十五条
数量を指示して売買したる物か不足なる場合及ひ物の一部か契約の当時既に滅失したる場合に於て買主か其不足又は滅失を知らさりしときは前二条の規定を準用す+ - 第五百六十六条
売買の目的物か地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的たる場合に於て買主か之を知らさりしときは之か為めに契約を為したる目的を達すること能はさる場合に限り買主は契約の解除を為すことを得其他の場合に於ては損害賠償の請求のみを為すことを得
- 2
前項の規定は売買の目的たる不動産の為めに存せりと称せし地役権か存せさりしとき及ひ其不動産に付き登記したる賃貸借ありたる場合に之を準用す
- 3
前二項の場合に於て契約の解除又は損害賠償の請求は買主か事実を知りたる時より一年内に之を為すことを要す
+ - 第五百六十七条
売買の目的たる不動産の上に存したる先取特権又は抵当権の行使に因り買主か其所有権を失ひたるときは其買主は契約の解除を為すことを得
- 2
買主か出捐を為して其所有権を保存したるときは売主に対して其出捐の償還を請求することを得
- 3
右孰れの場合に於ても買主か損害を受けたるときは其賠償を請求することを得
+ - 第五百六十八条
強制競売の場合に於ては買受人は前七条の規定に依り債務者に対して契約の解除を為し又は代金の減額を請求することを得
- 2
前項の場合に於て債務者か無資力なるときは買受人は代金の配当を受けたる債権者に対して其代金の全部又は一部の返還を請求することを得
- 3
前二項の場合に於て債務者か物又は権利の欠缺を知りて之を申出てす又は債権者か之を知りて競売を請求したるときは買受人は其過失者に対して損害賠償の請求を為すことを得
+ - 第五百六十九条
債権の売主か債務者の資力を担保したるときは契約の当時に於ける資力を担保したるものと推定す
- 2
弁済期に至らさる債権の売主か債務者の将来の資力を担保したるときは弁済の期日に於ける資力を担保したるものと推定す
第五百七十条
売買の目的物に隠れたる瑕疵ありたるときは第五百六十六条の規定を準用す但強制競売の場合は此限に在らす 第五百七十一条
第五百三十三条の規定は第五百六十三条乃至第五百六十六条及ひ前条の場合に之を準用す 第五百七十二条
売主は前十二条に定めたる担保の責任を負はさる旨を特約したるときと雖も其知りて告けさりし事実及ひ自ら第三者の為めに設定し又は之に譲渡したる権利に付ては其責を免るることを得す 第五百七十三条
売買の目的物の引渡に付き期限あるときは代金の支払に付ても亦同一の期限を附したるものと推定す 第五百七十四条
売買の目的物の引渡と同時に代金を払ふへきときは其引渡の場所に於て之を払ふことを要す+ - 第五百七十五条
未た引渡ささる売買の目的物か果実を生したるときは其果実は売主に属す
- 2
買主は引渡の日より代金の利息を払ふ義務を負ふ但代金の支払に付き期限あるときは其期限の到来するまては利息を払ふことを要せす
第五百七十六条
売買の目的に付き権利を主張する者ありて買主か其買受けたる権利の全部又は一部を失ふ虞あるときは買主は其危険の限度に応し代金の全部又は一部の支払を拒むことを得但売主か相当の担保を供したるときは此限に在らす 第五百七十七条
買受けたる不動産に付き先取特権、質権又は抵当権の登記あるときは買主は滌除の手続を終はるまて其代金の支払を拒むことを得但売主は買主に対して遅滞なく滌除を為すへき旨を請求することを得 第五百七十八条
前二条の場合に於て売主は買主に対して代金の供託を請求することを得
+ - 第三款 買戻
- 第五百七十九条
不動産の売主は売買契約と同時に為したる買戻の特約に依り買主か払ひたる代金及ひ契約の費用を返還して其売買の解除を為すことを得但当事者か別段の意思を表示せさりしときは不動産の果実と代金の利息とは之を相殺したるものと看做す
- + - 第五百八十条
買戻の期間は十年を超ゆることを得す若し之より長き期間を定めたるときは之を十年に短縮す
- 2
買戻に付き期間を定めたるときは後日之を伸長することを得す
- 3
買戻に付き期間を定めさりしときは五年内に之を為すことを要す
+ - 第五百八十一条
売買契約と同時に買戻の特約を登記したるときは買戻は第三者に対しても其効力を生す
- 2
登記を為したる賃借人の権利は其残期一年間に限り之を以て売主に対抗することを得但売主を害する目的を以て賃貸借を為したるときは此限に在らす
第五百八十二条
売主の債権者か第四百二十三条の規定に依り売主に代はりて買戻を為さんと欲するときは買主は裁判所に於て選定したる鑑定人の評価に従ひ不動産の現時の価額より売主か返還すへき金額を控除したる残額に達するまて売主の債務を弁済し尚ほ余剰あるときは之を売主に返還して買戻権を消滅せしむることを得+ - 第五百八十三条
売主は期間内に代金及ひ契約の費用を提供するに非されは買戻を為すことを得す
- 2
買主又は転得者か不動産に付き費用を出たしたるときは売主は第百九十六条の規定に従ひ之を償還することを要す但有益費に付ては裁判所は売主の請求に因り之に相当の期限を許与することを得
第五百八十四条
不動産の共有者の一人か買戻の特約を以て其持分を売却したる後其不動産の分割又は競売ありたるときは売主は買主か受けたる若くは受くへき部分又は代金に付き買戻を為すことを得但売主に通知せすして為したる分割及ひ競売は之を以て売主に対抗することを得す+ - 第五百八十五条
前条の場合に於て買主か不動産の競売の買受人と為りたるときは売主は競売の代金及ひ第五百八十三条に掲けたる費用を払ひて買戻を為すことを得此場合に於ては売主は其不動産の全部の所有権を取得す
- 2
他の共有者より分割を請求したるに因り買主か競売の買受人と為りたるときは売主は其持分のみに付き買戻を為すことを得す
+ - 第四節 交換
- + - 第五百八十六条
交換は当事者か互に金銭の所有権に非さる財産権を移転することを約するに因りて其効力を生す
- 2
当事者の一方か他の権利と共に金銭の所有権を移転することを約したるときは其金銭に付ては売買の代金に関する規定を準用す
+ - 第五節 消費貸借
- 第五百八十七条
消費貸借は当事者の一方か種類、品等及ひ数量の同しき物を以て返還を為すことを約して相手方より金銭其他の物を受取るに因りて其効力を生す
- 第五百八十八条
消費貸借に因らすして金銭其他の物を給付する義務を負ふ者ある場合に於て当事者か其物を以て消費貸借の目的と為すことを約したるときは消費貸借は之に因りて成立したるものと看做す
- 第五百八十九条
消費貸借の予約は爾後当事者の一方か破産の宣告を受けたるときは其効力を失ふ
- + - 第五百九十条
利息附の消費貸借に於て物に隠れたる瑕疵ありたるときは貸主は瑕疵なき物を以て之に代ふることを要す但損害賠償の請求を妨けす
- 2
無利息の消費貸借に於ては借主は瑕疵ある物の価額を返還することを得但貸主か其瑕疵を知りて之を借主に告けさりしときは前項の規定を準用す
+ - 第五百九十一条
当事者か返還の時期を定めさりしときは貸主は相当の期間を定めて返還の催告を為すことを得
第五百九十二条
借主か第五百八十七条の規定に依りて返還を為すこと能はさるに至りたるときは其時に於ける物の価額を償還することを要す但第四百二条第二項の場合は此限に在らす
+ - 第六節 使用貸借
- 第五百九十三条
使用貸借は当事者の一方か無償にて使用及ひ収益を為したる後返還を為すことを約して相手方より或物を受取るに因りて其効力を生す
- + - 第五百九十四条
借主は契約又は其目的物の性質に因りて定まりたる用方に従ひ其物の使用及ひ収益を為すことを要す
- 2
借主は貸主の承諾あるに非されは第三者をして借用物の使用又は収益を為さしむることを得す
- 3
借主か前二項の規定に反する使用又は収益を為したるときは貸主は契約の解除を為すことを得
+ - 第五百九十五条
借主は借用物の通常の必要費を負担す
- 2
此他の費用に付ては第五百八十三条第二項の規定を準用す
第五百九十六条
第五百五十一条の規定は使用貸借に之を準用す+ - 第五百九十七条
借主は契約に定めたる時期に於て借用物の返還を為すことを要す
- 2
当事者か返還の時期を定めさりしときは借主は契約に定めたる目的に従ひ使用及ひ収益を終はりたる時に於て返還を為すことを要す但其以前と雖も使用及ひ収益を為すに足るへき期間を経過したるときは貸主は直ちに返還を請求することを得
- 3
当事者か返還の時期又は使用及ひ収益の目的を定めさりしときは貸主は何時にても返還を請求することを得
第五百九十八条
借主は借用物を原状に復して之に附属せしめたる物を収去することを得 第五百九十九条
使用貸借は借主の死亡に因りて其効力を失ふ 第六百条
契約の本旨に反する使用又は収益に因りて生したる損害の賠償及ひ借主か出たしたる費用の償還は貸主か返還を受けたる時より一年内に之を請求することを要す
+ - 第七節 賃貸借
- + - 第一款 総則
- 第六百一条
賃貸借は当事者の一方か相手方に或物の使用及ひ収益を為さしむることを約し相手方か之に其賃金を払ふことを約するに因りて其効力を生す
- + - 第六百二条
処分の能力又は権限を有せさる者か賃貸借を為す場合に於ては其賃貸借は左の期間を超ゆることを得す
- 一
樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借は十年
- 二
其他の土地の賃貸借は五年
- 三
建物の賃貸借は三年
- 四
動産の賃貸借は六个月
- 第六百三条
前条の期間は之を更新することを得但其期間満了前土地に付ては一年内建物に付ては三个月内動産に付ては一个月内に其更新を為すことを要す
- + - 第六百四条
賃貸借の存続期間は二十年を超ゆることを得す若し之より長き期間を以て賃貸借を為したるときは其期間は之を二十年に短縮す
- 2
前項の期間は之を更新することを得但更新の時より二十年を超ゆることを得す
+ - 第二款 賃貸借の効力
- 第六百五条
不動産の賃貸借は之を登記したるときは爾後其不動産に付き物権を取得したる者に対しても其効力を生す
- + - 第六百六条
賃貸人は賃貸物の使用及ひ収益に必要なる修繕を為す義務を負ふ
- 2
賃貸人か賃貸物の保存に必要なる行為を為さんと欲するときは賃借人は之を拒むことを得す
第六百七条
賃貸人か賃借人の意思に反して保存行為を為さんと欲する場合に於て之か為め賃借人か賃借を為したる目的を達すること能はさるときは賃借人は契約の解除を為すことを得+ - 第六百八条
賃借人か賃借物に付き賃貸人の負担に属する必要費を出たしたるときは賃貸人に対して直ちに其償還を請求することを得
- 2
賃借人か有益費を出たしたるときは賃貸人は賃貸借終了の時に於て第百九十六条第二項の規定に従ひ其償還を為すことを要す但裁判所は賃貸人の請求に因り之に相当の期限を許与することを得
第六百九条
収益を目的とする土地の賃借人か不可抗力に因り借賃より少き収益を得たるときは其収益の額に至るまて借賃の減額を請求することを得但宅地の賃貸借に付ては此限に在らす 第六百十条
前条の場合に於て賃借人か不可抗力に因り引続き二年以上借賃より少き収益を得たるときは契約の解除を為すことを得+ - 第六百十一条
賃借物の一部か賃借人の過失に因らすして滅失したるときは賃借人は其滅失したる部分の割合に応して借賃の減額を請求することを得
- 2
前項の場合に於て残存する部分のみにては賃借人か賃借を為したる目的を達すること能はさるときは賃借人は契約の解除を為すことを得
+ - 第六百十二条
賃借人は賃貸人の承諾あるに非されは其権利を譲渡し又は賃借物を転貸することを得す
- 2
賃借人か前項の規定に反し第三者をして賃借物の使用又は収益を為さしめたるときは賃貸人は契約の解除を為すことを得
+ - 第六百十三条
賃借人か適法に賃借物を転貸したるときは転借人は賃貸人に対して直接に義務を負ふ此場合に於ては借賃の前払を以て賃貸人に対抗することを得す
- 2
前項の規定は賃貸人か賃借人に対して其権利を行使することを妨けす
第六百十四条
借賃は動産、建物及ひ宅地に付ては毎月末に其他の土地に付ては毎年末に之を払ふことを要す但収穫季節あるものに付ては其季節後遅滞なく之を払ふことを要す 第六百十五条
貸借物か修繕を要し又は賃借物に付き権利を主張する者あるときは賃借人は遅滞なく之を賃貸人に通知することを要す但賃貸人か既に之を知れるときは此限に在らす 第六百十六条
第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及ひ第五百九十八条の規定は賃貸借に之を準用す
+ - 第三款 賃貸借の終了
- + - 第六百十七条
当事者か賃貸借の期間を定めさりしときは各当事者は何時にても解約の申入を為すことを得此場合に於ては賃貸借は解約申入の後左の期間を経過したるに因りて終了す
- + -
- 一
土地に付ては一年
- 二
建物に付ては三个月
- 三
貸席及ひ動産に付ては一日
- 2
収穫季節ある土地の賃貸借に付ては其季節後次の耕作に著手する前に解約の申入を為すことを要す
第六百十八条
当事者か賃貸借の期間を定めたるも其一方又は各自か其期間内に解約を為す権利を留保したるときは前条の規定を準用す+ - 第六百十九条
賃貸借の期間満了の後賃借人か賃借物の使用又は収益を継続する場合に於て賃貸人か之を知りて異議を述へさるときは前賃貸借と同一の条件を以て更に賃貸借を為したるものと推定す但各当事者は第六百十七条の規定に依りて解約の申入を為すことを得
- 2
前賃貸借に付き当事者か担保を供したるときは其担保は期間の満了に因りて消滅す但敷金は此限に在らす
第六百二十条
賃貸借を解除したる場合に於ては其解除は将来に向てのみ其効力を生す但当事者の一方に過失ありたるときは之に対する損害賠償の請求を妨けす 第六百二十一条
賃借人か破産の宣告を受けたるときは賃貸借に期間の定あるときと雖も賃貸人又は破産管財人は第六百十七条の規定に依りて解約の申入を為すことを得此場合に於ては各当事者は相手方に対し解約に因りて生したる損害の賠償を請求することを得す 第六百二十二条
第六百条の規定は賃貸借に之を準用す
+ - 第八節 雇傭
- 第六百二十三条
雇傭は当事者の一方か相手方に対して労務に服することを約し相手方か之に其報酬を与ふることを約するに因りて其効力を生す
- + - 第六百二十四条
労務者は其約したる労務を終はりたる後に非されは報酬を請求することを得す
- 2
期間を以て定めたる報酬は其期間の経過したる後之を請求することを得
+ - 第六百二十五条
使用者は労務者の承諾あるに非されは其権利を第三者に譲渡すことを得す
- 2
労務者は使用者の承諾あるに非されは第三者をして自己に代はりて労務に服せしむることを得す
- 3
労務者か前項の規定に反し第三者をして労務に服せしめたるときは使用者は契約の解除を為すことを得
+ - 第六百二十六条
雇傭の期間か五年を超過し又は当事者の一方若くは第三者の終身間継続すへきときは当事者の一方は五年を経過したる後何時にても契約の解除を為すことを得但此期間は商工業見習者の雇傭に付ては之を十年とす
- 2
前項の規定に依りて契約の解除を為さんと欲するときは三个月前に其予告を為すことを要す
+ - 第六百二十七条
当事者か雇傭の期間を定めさりしときは各当事者は何時にても解約の申入を為すことを得此場合に於ては雇傭は解約申入の後二週間を経過したるに因りて終了す
- 2
期間を以て報酬を定めたる場合に於ては解約の申入は次期以後に対して之を為すことを得但其申入は当期の前半に於て之を為すことを要す
- 3
六个月以上の期間を以て報酬を定めたる場合に於ては前項の申入は三个月前に之を為すことを要す
第六百二十八条
当事者か雇傭の期間を定めたるときと雖も已むことを得さる事由あるときは各当事者は直ちに契約の解除を為すことを得但其事由か当事者の一方の過失に因りて生したるときは相手方に対して損害賠償の責に任す+ - 第六百二十九条
雇傭の期間満了の後労務者か引続き其労務に服する場合に於て使用者か之を知りて異議を述へさるときは前雇傭と同一の条件を以て更に雇傭を為したるものと推定す但各当事者は第六百二十七条の規定に依りて解約の申入を為すことを得
- 2
前雇傭に付き当事者か担保を供したるときは其担保は期間の満了に因りて消滅す但身元保証金は此限に在らす
第六百三十条
第六百二十条の規定は雇傭に之を準用す 第六百三十一条
使用者か破産の宣告を受けたるときは雇傭に期間の定あるときと雖も労務者又は破産管財人は第六百二十七条の規定に依りて解約の申入を為すことを得此場合に於ては各当事者は相手方に対し解約に因りて生したる損害の賠償を請求することを得す
+ - 第九節 請負
- 第六百三十二条
請負は当事者の一方か或仕事を完成することを約し相手方か其仕事の結果に対して之に報酬を与ふることを約するに因りて其効力を生す
- 第六百三十三条
報酬は仕事の目的物の引渡と同時に之を与ふることを要す但物の引渡を要せさるときは第六百二十四条第一項の規定を準用す
- + - 第六百三十四条
仕事の目的物に瑕疵あるときは注文者は請負人に対し相当の期限を定めて其瑕疵の修補を請求することを得但瑕疵か重要ならさる場合に於て其修補か過分の費用を要するときは此限に在らす
- 2
注文者は瑕疵の修補に代へ又は其修補と共に損害賠償の請求を為すことを得此場合に於ては第五百三十三条の規定を準用す
第六百三十五条
仕事の目的物に瑕疵ありて之か為めに契約を為したる目的を達すること能はさるときは注文者は契約の解除を為すことを得但建物其他土地の工作物に付ては此限に在らす 第六百三十六条
前二条の規定は仕事の目的物の瑕疵か注文者より供したる材料の性質又は注文者の与へたる指図に因りて生したるときは之を適用せす但請負人か其材料又は指図の不適当なることを知りて之を告けさりしときは此限に在らす+ - 第六百三十七条
前三条に定めたる瑕疵修補又は損害賠償の請求及ひ契約の解除は仕事の目的物を引渡したる時より一年内に之を為すことを要す
- 2
仕事の目的物の引渡を要せさる場合に於ては前項の期間は仕事終了の時より之を起算す
+ - 第六百三十八条
土地の工作物の請負人は其工作物又は地盤の瑕疵に付ては引渡の後五年間其担保の責に任す但此期間は石造、土造、煉瓦造又は金属造の工作物に付ては之を十年とす
- 2
工作物か前項の瑕疵に因りて滅失又は毀損したるときは注文者は其滅失又は毀損の時より一年内に第六百三十四条の権利を行使することを要す
第六百三十九条
第六百三十七条及ひ前条第一項の期間は普通の時効期間内に限り契約を以て之を伸長することを得 第六百四十条
請負人は第六百三十四条及ひ第六百三十五条に定めたる担保の責任を負はさる旨を特約したるときと雖も其知りて告けさりし事実に付ては其責を免るることを得す 第六百四十一条
請負人か仕事を完成せさる間は注文者は何時にても損害を賠償して契約の解除を為すことを得+ - 第六百四十二条
注文者か破産の宣告を受けたるときは請負人又は破産管財人は契約の解除を為すことを得此場合に於ては請負人は其既に為したる仕事の報酬及ひ其報酬中に包含せさる費用に付き財団の配当に加入することを得
- 2
前項の場合に於ては各当事者は相手方に対し解約に因りて生したる損害の賠償を請求することを得す
+ - 第十節 委任
- 第六百四十三条
委任は当事者の一方か法律行為を為すことを相手方に委託し相手方か之を承諾するに因りて其効力を生す
- 第六百四十四条
受任者は委任の本旨に従ひ善良なる管理者の注意を以て委任事務を処理する義務を負ふ
- 第六百四十五条
受任者は委任者の請求あるときは何時にても委任事務処理の状況を報告し又委任終了の後は遅滞なく其顛末を報告することを要す
- + - 第六百四十六条
受任者は委任事務を処理するに当りて受取りたる金銭其他の物を委任者に引渡すことを要す其収取したる果実亦同し
- 2
受任者か委任者の為めに自己の名を以て取得したる権利は之を委任者に移転することを要す
第六百四十七条
受任者か委任者に引渡すへき金額又は其利益の為めに用ゆへき金額を自己の為めに消費したるときは其消費したる日以後の利息を払ふことを要す尚ほ損害ありたるときは其賠償の責に任す+ - 第六百四十八条
受任者は特約あるに非されは委任者に対して報酬を請求することを得す
- 2
受任者か報酬を受くへき場合に於ては委任履行の後に非されは之を請求することを得す但期間を以て報酬を定めたるときは第六百二十四条第二項の規定を準用す
- 3
委任か受任者の責に帰すへからさる事由に因り其履行の半途に於て終了したるときは受任者は其既に為したる履行の割合に応して報酬を請求することを得
第六百四十九条
委任事務を処理するに付き費用を要するときは委任者は受任者の請求に因り其前払を為すことを要す+ - 第六百五十条
受任者か委任事務を処理するに必要と認むへき費用を出たしたるときは委任者に対して其費用及ひ支出の日以後に於ける其利息の償還を請求することを得
- 2
受任者か委任事務を処理するに必要と認むへき債務を負担したるときは委任者をして自己に代はりて其弁済を為さしめ又其債務か弁済期に在らさるときは相当の担保を供せしむることを得
- 3
受任者か委任事務を処理する為め自己に過失なくして損害を受けたるときは委任者に対して其賠償を請求することを得
+ - 第六百五十一条
委任は各当事者に於て何時にても之を解除することを得
- 2
当事者の一方か相手方の為めに不利なる時期に於て委任を解除したるときは其損害を賠償することを要す但已むことを得さる事由ありたるときは此限に在らす
第六百五十二条
第六百二十条の規定は委任に之を準用す 第六百五十三条
委任は委任者又は受任者の死亡又は破産に因りて終了す受任者か後見開始の審判を受けたるとき亦同し 第六百五十四条
委任終了の場合に於て急迫の事情あるときは受任者、其相続人又は法定代理人は委任者、其相続人又は法定代理人か委任事務を処理することを得るに至るまて必要なる処分を為すことを要す 第六百五十五条
委任終了の事由は其委任者に出てたると受任者に出てたるとを問はす之を相手方に通知し又は相手方か之を知りたるときに非されは之を以て其相手方に対抗することを得す 第六百五十六条
本節の規定は法律行為に非さる事務の委託に之を準用す
+ - 第十一節 寄託
- 第六百五十七条
寄託は当事者の一方か相手方の為めに保管を為すことを約して或物を受取るに因りて其効力を生す
- + - 第六百五十八条
受寄者は寄託者の承諾あるに非されは受寄物を使用し又は第三者をして之を保管せしむることを得す
- 2
受寄者か第三者をして受寄物を保管せしむることを得る場合に於ては第百五条及ひ第百七条第二項の規定を準用す
第六百五十九条
無報酬にて寄託を受けたる者は受寄物の保管に付き自己の財産に於けると同一の注意を為す責に任す 第六百六十条
寄託物に付き権利を主張する第三者か受寄者に対して訴を提起し又は差押を為したるときは受寄者は遅滞なく其事実を寄託者に通知することを要す 第六百六十一条
寄託者は寄託物の性質又は瑕疵より生したる損害を受寄者に賠償することを要す但寄託者か過失なくして其性質若くは瑕疵を知らさりしとき又は受寄者か之を知りたるときは此限に在らす 第六百六十二条
当事者か寄託物返還の時期を定めたるときと雖も寄託者は何時にても其返還を請求することを得+ - 第六百六十三条
当事者か寄託物返還の時期を定めさりしときは受寄者は何時にても其返還を為すことを得
- 2
返還時期の定あるときは受寄者は已むことを得さる事由あるに非されは其期限前に返還を為すことを得す
第六百六十四条
寄託物の返還は其保管を為すへき場所に於て之を為すことを要す但受寄者か正当の事由に因りて其物を転置したるときは現在の場所に於て之を返還することを得 第六百六十五条
第六百四十六条乃至第六百四十九条及ひ第六百五十条第一項、第二項の規定は寄託に之を準用す 第六百六十六条
受寄者か契約に依り受寄物を消費することを得る場合に於ては消費貸借に関する規定を準用す但契約に返還の時期を定めさりしときは寄託者は何時にても返還を請求することを得
+ - 第十二節 組合
- + - 第六百六十七条
組合契約は各当事者か出資を為して共同の事業を営むことを約するに因りて其効力を生す
第六百六十八条
各組合員の出資其他の組合財産は総組合員の共有に属す 第六百六十九条
金銭を以て出資の目的と為したる場合に於て組合員か其出資を為すことを怠りたるときは其利息を払ふ外尚ほ損害の賠償を為すことを要す+ - 第六百七十条
組合の業務執行は組合員の過半数を以て之を決す
- 2
組合契約を以て業務の執行を委任したる者数人あるときは其過半数を以て之を決す
- 3
組合の常務は前二項の規定に拘はらす各組合員又は各業務執行者之を専行することを得但其結了前に他の組合員又は業務執行者か異議を述へたるときは此限に在らす
第六百七十一条
組合の業務を執行する組合員には第六百四十四条乃至第六百五十条の規定を準用す+ - 第六百七十二条
組合契約を以て一人又は数人の組合員に業務の執行を委任したるときは其組合員は正当の事由あるに非されは辞任を為すことを得す又解任せらるることなし
- 2
正当の事由に因りて解任を為すには他の組合員の一致あることを要す
第六百七十三条
各組合員は組合の業務を執行する権利を有せさるときと雖も其業務及ひ組合財産の状況を検査することを得+ - 第六百七十四条
当事者か損益分配の割合を定めさりしときは其割合は各組合員の出資の価額に応して之を定む
- 2
利益又は損失に付てのみ分配の割合を定めたるときは其割合は利益及ひ損失に共通なるものと推定す
第六百七十五条
組合の債権者は其債権発生の当時組合員の損失分担の割合を知らさりしときは各組合員に対し均一部分に付き其権利を行ふことを得+ - 第六百七十六条
組合員か組合財産に付き其持分を処分したるときは其処分は之を以て組合及ひ組合と取引を為したる第三者に対抗することを得す
- 2
組合員は清算前に組合財産の分割を求むることを得す
第六百七十七条
組合の債務者は其債務と組合員に対する債権とを相殺することを得す+ - 第六百七十八条
組合契約を以て組合の存続期間を定めさりしとき又は或組合員の終身間組合の存続すへきことを定めたるときは各組合員は何時にても脱退を為すことを得但已むことを得さる事由ある場合を除く外組合の為め不利なる時期に於て之を為すことを得す
- 2
組合の存続期間を定めたるときと雖も各組合員は已むことを得さる事由あるときは脱退を為すことを得
+ - 第六百七十九条
前条に掲けたる場合の外組合員は左の事由に因りて脱退す
- 一
死亡
- 二
破産
- 三
後見開始の審判を受けたること
- 四
除名
第六百八十条
組合員の除名は正当の事由ある場合に限り他の組合員の一致を以て之を為すことを得但除名したる組合員に其旨を通知するに非されは之を以て其組合員に対抗することを得す+ - 第六百八十一条
脱退したる組合員と他の組合員との間の計算は脱退の当時に於ける組合財産の状況に従ひ之を為すことを要す
- 2
脱退したる組合員の持分は其出資の種類如何を問はす金銭を以て之を払戻すことを得
- 3
脱退の当時に於て未た結了せさる事項に付ては其結了後に計算を為すことを得
第六百八十二条
組合は其目的たる事業の成功又は其成功の不能に因りて解散す 第六百八十三条
已むことを得さる事由あるときは各組合員は組合の解散を請求することを得 第六百八十四条
第六百二十条の規定は組合契約に之を準用す+ - 第六百八十五条
組合か解散したるときは清算は総組合員共同にて又は其選任したる者に於て之を為す
第六百八十六条
清算人数人あるときは第六百七十条の規定を準用す 第六百八十七条
組合契約を以て組合員中より清算人を選任したるときは第六百七十二条の規定を準用す+ - 第六百八十八条
清算人の職務及ひ権限に付ては第七十八条の規定を準用す
- 2
残余財産は各組合員の出資の価額に応して之を分割す
+ - 第十三節 終身定期金
- 第六百八十九条
終身定期金契約は当事者の一方か自己、相手方又は第三者の死亡に至るまて定期に金銭其他の物を相手方又は第三者に給付することを約するに因りて其効力を生す
- 第六百九十条
終身定期金は日割を以て之を計算す
- + - 第六百九十一条
定期金債務者か定期金の元本を受けたる場合に於て其定期金の給付を怠り又は其他の義務を履行せさるときは相手方は元本の返還を請求することを得但既に受取りたる定期金の中より其元本の利息を控除したる残額を債務者に返還することを要す
第六百九十二条
第五百三十三条の規定は前条の場合に之を準用す+ - 第六百九十三条
死亡か定期金債務者の責に帰すへき事由に因りて生したるときは裁判所は債権者又は其相続人の請求に因り相当の期間債権の存続することを宣告することを得
- 2
前項の規定は第六百九十一条に定めたる権利の行使を妨けす
第六百九十四条
本節の規定は終身定期金の遺贈に之を準用す
+ - 第十四節 和解
- 第六百九十五条
和解は当事者か互に譲歩を為して其間に存する争を止むることを約するに因りて其効力を生す
- 第六百九十六条
当事者の一方か和解に依りて争の目的たる権利を有するものと認められ又は相手方か之を有せさるものと認められたる場合に於て其者か従来此権利を有せさりし確証又は相手方か之を有せし確証出てたるときは其権利は和解に因りて其者に移転し又は消滅したるものとす
+ - 第三章 事務管理
- + - 第六百九十七条
義務なくして他人の為めに事務の管理を始めたる者は其事務の性質に従ひ最も本人の利益に適すへき方法に依りて其管理を為すことを要す
- 2
管理者か本人の意思を知りたるとき又は之を推知することを得へきときは其意思に従ひて管理を為すことを要す
第六百九十八条
管理者か本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れしむる為めに其事務の管理を為したるときは悪意又は重大なる過失あるに非されは之に因りて生したる損害を賠償する責に任せす 第六百九十九条
管理者は其管理を始めたることを遅滞なく本人に通知することを要す但本人か既に之を知れるときは此限に在らす 第七百条
管理者は本人、其相続人又は法定代理人か管理を為すことを得るに至るまて其管理を継続することを要す但其管理の継続か本人の意思に反し又は本人の為めに不利なること明かなるときは此限に在らす 第七百一条
第六百四十五条乃至第六百四十七条の規定は事務管理に之を準用す+ - 第七百二条
管理者か本人の為めに有益なる費用を出たしたるときは本人に対して其償還を請求することを得
- 2
管理者か本人の為めに有益なる債務を負担したるときは第六百五十条第二項の規定を準用す
- 3
管理者か本人の意思に反して管理を為したるときは本人か現に利益を受くる限度に於てのみ前二項の規定を適用す
+ - 第四章 不当利得
- 第七百三条
法律上の原因なくして他人の財産又は労務に因り利益を受け之か為めに他人に損失を及ほしたる者は其利益の存する限度に於て之を返還する義務を負ふ
- 第七百四条
悪意の受益者は其受けたる利益に利息を附して之を返還することを要す尚ほ損害ありたるときは其賠償の責に任す
- 第七百五条
債務の弁済として給付を為したる者か其当時債務の存在せさることを知りたるときは其給付したるものの返還を請求することを得す
- 第七百六条
債務者か弁済期に在らさる債務の弁済として給付を為したるときは其給付したるものの返還を請求することを得す但債務者か錯誤に因りて其給付を為したるときは債権者は之に因りて得たる利益を返還することを要す
- + - 第七百七条
債務者に非さる者か錯誤に因りて債務の弁済を為したる場合に於て債権者か善意にて証書を毀滅し、担保を抛棄し又は時効に因りて其債権を失ひたるときは弁済者は返還の請求を為すことを得す
- 2
前項の規定は弁済者より債務者に対する求償権の行使を妨けす
第七百八条
不法の原因の為め給付を為したる者は其給付したるものの返還を請求することを得す但不法の原因か受益者に付てのみ存したるときは此限に在らす
+ - 第五章 不法行為
- 第七百九条
故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生したる損害を賠償する責に任す
- 第七百十条
他人の身体、自由又は名誉を害したる場合と財産権を害したる場合とを問はす前条の規定に依りて損害賠償の責に任する者は財産以外の損害に対しても其賠償を為すことを要す
- 第七百十一条
他人の生命を害したる者は被害者の父母、配偶者及ひ子に対しては其財産権を害せられさりし場合に於ても損害の賠償を為すことを要す
- 第七百十二条
未成年者か他人に損害を加へたる場合に於て其行為の責任を弁識するに足るへき知能を具へさりしときは其行為に付き賠償の責に任せす
- 第七百十三条
精神上の障害に因り自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態に在る間に他人に損害を加へたる者は賠償の責に任せす但故意又は過失に因りて一時其状態を招きたるときは此限に在らす
- + - 第七百十四条
前二条の規定に依り無能力者に責任なき場合に於て之を監督すへき法定の義務ある者は其無能力者か第三者に加へたる損害を賠償する責に任す但監督義務者か其義務を怠らさりしときは此限に在らす
- 2
監督義務者に代はりて無能力者を監督する者も亦前項の責に任す
+ - 第七百十五条
或る事業の為めに他人を使用する者は被用者か其事業の執行に付き第三者に加へたる損害を賠償する責に任す但使用者か被用者の選任及ひ其事業の監督に付き相当の注意を為したるとき又は相当の注意を為すも損害か生すへかりしときは此限に在らす
- 2
使用者に代はりて事業を監督する者も亦前項の責に任す
- 3
前二項の規定は使用者又は監督者より被用者に対する求償権の行使を妨けす
第七百十六条
注文者は請負人か其仕事に付き第三者に加へたる損害を賠償する責に任せす但注文又は指図に付き注文者に過失ありたるときは此限に在らす+ - 第七百十七条
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵あるに因りて他人に損害を生したるときは其工作物の占有者は被害者に対して損害賠償の責に任す但占有者か損害の発生を防止するに必要なる注意を為したるときは其損害は所有者之を賠償することを要す
- 2
前項の規定は竹木の栽植又は支持に瑕疵ある場合に之を準用す
- 3
前二項の場合に於て他に損害の原因に付き其責に任すへき者あるときは占有者又は所有者は之に対して求償権を行使することを得
+ - 第七百十八条
動物の占有者は其動物か他人に加へたる損害を賠償する責に任す但動物の種類及ひ性質に従ひ相当の注意を以て其保管を為したるときは此限に在らす
- 2
占有者に代はりて動物を保管する者も亦前項の責に任す
+ - 第七百十九条
数人か共同の不法行為に因りて他人に損害を加へたるときは各自連帯にて其賠償の責に任す共同行為者中の孰れか其損害を加へたるかを知ること能はさるとき亦同し
+ - 第七百二十条
他人の不法行為に対し自己又は第三者の権利を防衛する為め已むことを得すして加害行為を為したる者は損害賠償の責に任せす但被害者より不法行為を為したる者に対する損害賠償の請求を妨けす
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前項の規定は他人の物より生したる急迫の危難を避くる為め其物を毀損したる場合に之を準用す
第七百二十一条
胎児は損害賠償の請求権に付ては既に生まれたるものと看做す+ - 第七百二十二条
第四百十七条の規定は不法行為に因る損害の賠償に之を準用す
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被害者に過失ありたるときは裁判所は損害賠償の額を定むるに付き之を斟酌することを得
第七百二十三条
他人の名誉を毀損したる者に対しては裁判所は被害者の請求に因り損害賠償に代へ又は損害賠償と共に名誉を回復するに適当なる処分を命することを得 第七百二十四条
不法行為に因る損害賠償の請求権は被害者又は其法定代理人か損害及ひ加害者を知りたる時より三年間之を行はさるときは時効に因りて消滅す不法行為の時より二十年を経過したるとき亦同し