日本人にとって"見知らぬ国"、"遠い国"であるアルメニア。
コーカサスにあるこの国は、我々にとっては、なじみのない場所のように思われています。しかし、映画においては、
セルゲイ・パラジャーノフやドン・アスカリアンのような個性的な監督が紹介されていますし、ドキュメンタリーという枠に納めることができない芸術的な作品をつくり出し、ゴダールに絶賛されたことで注目されるアルタヴァスト・ペレシャン監督もアルメニア人です。また、日本でも人気のカナダのアトム・エゴヤン監督もアルメニアにルーツを持ちます。これらの素晴らしい監督たちを生み出したアルメニア映画の世界を紹介する今上映会は、日本で初めてアルメニアの映画がまとまって上映される貴重な機会となります。
世界的に歴史のあるキリスト教国アルメニアは、
"異教"の時代の慣習がキリスト教の文化に取り入れられています。また、郷土が民族文化の十字路にあるため、様々な文化の影響を受けました。そのため、他の周辺諸国とは異なるアルメニア独自の精神がその文化・芸術の伝統の中に生きています。ヘレニズム、ペルシャ、アラブ等、それぞれの文化を尊重した独特の表現は、アルメニア映画の中にもみられます。
アルメニア人ジェノサイド問題、ソ連邦への編入、ナゴルノ・カラバフ紛争、スピタク地震、ソ連邦解体とアルメニア共和国成立。映画の歴史と平行して、アルメニアが経験した歴史的な事柄は、強烈なアイデンティティとして、アルメニア映画を特徴づけています。また、アトム・エゴヤン監督にみられる、ジェノサイドにより世界に離散したアルメニア移民の存在もこの国を語るうえでは欠くことができません。彼らは、ルーツであるアルメニアと移住した国との2つの国の境界で、自らのアイデンティティを模索し、それを映画の中に反映させています。
アルメニアの文化と歴史によって導かれた映画は、世界の映画芸術の中でも特異な魅力を放っています。今回の上映会では、世界の映画祭などで高い評価を受けながら、日本では紹介されることのなかった、才能豊かな監督たちの作品を上映いたします。日本初上映となるこれらの作品は、アルメニア映画の新たな展開がみられるものであると同時に、先に挙げた監督たちの作品同様、新鮮な感動を私たちに与えてくれます。今回の上映会が、アルメニアの文化と歴史への認識をひろげる機会となれば幸いに思います。
映画美学校とコミュニティシネマ支援センター、財団法人国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)では、2003年度より、
上映者育成のための総合講座・映画上映専門家養成講座[シネマ・マネジメント・ワークショップ]を開講しています。
今回の上映会は、 9ヶ月にわたる講座の締めくくりとして行うものです。「HOSONO
THEATER〜細野晴臣の映画音楽堂〜」と「アルメニア・フィルム・セレクション」というふたつの企画は、受講生たちが提出した企画の中から選ばれたもので、企画の立案から予算書の作成、国内外からのフィルムの借用交渉、会場との交渉にいたるまですべて受講生自身が行っています。映画上映の世界をのぞいたばかりの若い受講生たちがどんな
企画を実現するのか、ご来場いただければ幸いです。
映画上映専門家養成講座[シネマ・マネジメント・ワークショップ]に関するお問い合わせは、コミュニティシネマ支援センター
URL : http://www.jc3.jp/
TEL : 03-5562-4422 Email : film@acejapan.or.jp
アルメニア・フィルム・セレクションに関するお問い合わせは、
Email : armenian-films@hotmail.co.jp までお願いします。
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